前腕症候群
「なくて七癖」とはよく言ったものです。
その人の気づかない癖は最低でも七つはあるよ、ということなんですが、身体動作上、或いは、ある操作において、個人固有の動きというものがあります。
最近、この身体動作の癖を上手く利用して、それぞれ個人に合ったやり方、動作を行うことによって、スポーツなどが上手くなる、という本も出版され、テレビなどでも取り上げられる機会が多くなりました。
古武道ブームの次にくるのはこれか!と思っていたのですが、さすがにそこまでのブレイクはしていないようです。
確かに、松井型とイチロー型の身体の使い方には違いがあるな、と思います。
スポーツなどのコーチは一律に決めつけるのではなく、その人の身体の癖を生かしながら指導すれば、無駄なことが省け、または才能を潰すこともなく、よき選手にできるだろうにと思うキッカケになったものでした。
ボクも身体操作とそれに伴う身体動作を指導する立場にありますから、それぞれの個性をどういう形で見極めるか、ということを真剣に考えていたわけで、なるほど!と大いに共感したのものです。
前置きはこれくらいにして、本論に入りたいと思います。
ボク自身も当然ながら、癖があります。
その癖を矯正しつつ、こんにちまで来たのですが、どうしても完全に矯正しきれないものもあるのです。
それは、施術が続くと前腕がダルくなってしまうというものです。随分、改善はしているのですが、まだ連続施術後はこの症状に苦しめられてしまうのでした。
原因は分かっております。
幼少時、右手の大怪我によって、手の平が開かなくなっているのに由来しているものなのですが、この異常のため、独特な体勢を強いられ、訴に至っているわけです。
原因は分かっていてもこれ以上の矯正は手術するより他ないわけで(実際、一度手術している)、改善は見込めません。
施術家にとって、手の平が充分に開かないというのはある意味、致命的なものかもしれません。それでもこうしてやっているわけですから、なにやら因縁めいた「業」みたいなものを感じてしまうのです。
この右手のお陰で随分と不便を強いられました。
この原稿もパソコンで打っているのですが、完全なホームポジションではできないのです。
まあ、秘書の仕事ではありませんから、ホームポジションブラインドタッチができなくとも、問題はありませんが、時々、アイディアに追いつかない指の動きがもどかしいわけです。
その他、楽器が弾けない(鍵盤楽器は物理的にできない)。
腕立て伏せができない(どうしてもやれと言われたら拳骨でやらなきゃいけない)。
良かった点をあえて言えば、右利きにもかかわらず左手も利くということくらいでしょうか。
今、ボールを投げろ、と言われたら、右手でも左手でも飛距離は同じくらいかな、とも思います。(むしろ、左手のほうが飛ぶかも)
こうして独特の体癖が形成されていったのです。
まあ、それはそれで仕方ありません。
問題は事実を認め、如何にケアーするか、ということになるのですから。
幸いにして前腕部はセルフケアーするにはやりやすいところではあります。
施術後、無意識に揉んだり、押したりしておりました。
クールダウン用のクリームがあればそれを塗り、いよいよつらいときはバイブレーションマッサージ器で、解したりして。それでもいまいちのときはありますね。
やはり他人から、入念に押圧してもらうのに優るものはありません。
首や肩、腰などの症状に比べ、前腕のダルさを訴える方は少ないかもしれませんが、施術家でなくとも、非常に凝る部位ではあります。
自覚症状的にダルさを少しでも感じるなら、放って置かないで、早めに施術を受けることをお勧めします。
この部位の疲れは脳を疲れさせますし、免疫力を落とすことが分かっています。
転ばぬ先の杖という格言があるではないですか。
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