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椎間関節の潤滑3

この技法は基本的にクライアントを横向きに寝かせねばなりません。
うつ伏せですと、微妙な関節の動きを促進できないのです。
ところが、横向きはクライアントにとって、もっともリラックスできる姿勢なのですが、施術者にとっては、安定的な体を維持するのに、ある意味熟練が要求されます。
また一口に横向きと言っても、うつ伏せや仰向けと違い、クライアントが取る体勢というのは様々です。胎児のように丸まる方、ピンと伸ばして寝る方、ほとんどうつ伏せに近い形の体勢をとる方。まあ、実に様々です。ある程度の指示は必要ですが、身体的にどうしてもその体勢がキツイという方もいるので、施術者のほうが合わせねばならない場面もあって、それぞれのバリエーションを持たねばならないのです。

要は慣れなのですが、まずこの部分で戸惑うことになるでしょう。
安定感の中にある横向き特有の不安定性を利用するこの技法はおそらく他に類を見ないものかと思います。
あえて言えば増永師の横向き施術に似ていないこともないのですが、診る観点が違うためやはり別物です。

いずれにせよ、この体勢で頚椎、胸椎、腰椎の各椎間関節を一つ一つ潤滑させていくのですが、特に潤滑されていない箇所については時間をかけます。
潤滑されていない箇所が分かるのか?という疑問もあるでしょうが、自分の手指というのは自分が思っている以上に賢いものです。無心で100回も施術すれば必ず分かるようになります。そのことよりもむしろ技法自体が難しいのでそちらの修得に時間がかかるやもしれません。

こうして、片側20分~30分の施術時間を割き、両側で40分~60分見ておけば、ほぼ潤滑されていくものです。

何故、椎間関節の潤滑で様々な愁訴に対応できるのか?という質問は愚問です。
何故、足揉みで病気が治るのか?という質問と同じくらいの愚問だと思うのですが、如何でしょう?
どのようなレベルで回答しても、その回答はその療法の持つ機序の一部でしかありません。
色んな理屈をこねても結局、西洋医学的な意味では分からないのです。
従いまして、我々、施術家は「施術者が行う操作によってクライアント自身の自己治癒力を発動させ得るもの」と定義する他ないのです。その方法論が様々なのであって、幅広い対象に運用できるものか、特定、特殊なヒトにしか対応できないものか、或いは、その中間くらいのものなのか、それが手技における「証」とも言えるわけです。
「椎間関節潤滑不全の証」と言えば、その語感から極めて特殊な証のような感じを受けますが、ある年齢を過ぎる頃にはかなり普遍的な「証」であることが判明したためこうして書いているわけです。

※西洋医学では「椎間関節症」という病態があります。専門に研究している医学者もいますが、診断基準が未だハッキリしていません。厳密に言えば、病態が確立していないとも言えます。何故なら、レントゲン、MRIなどで明らかな椎間関節の亜脱臼などの障害があると視認できるにも関わらず、症状はそこには出ていなくて、別のところに出ていることが多々あるためです。整体的には経絡を持ち出すまでもなく、トリガー理論などでもその現象を容易に説明することが出来るのですが、現代医学は明確なエビデンスを必要とするため、困惑し、難儀しているという状況なのです。そんなことを言えば、椎間板ヘルニアであっても同じです。障害の程度と愁訴が比例しないのですから。「椎間関節潤滑不全の証」と「椎間関節症」とは全く別のものであるとご承知置きください。

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