嗅覚
犬は人間の一万倍の嗅覚を持っているとか。
いやいや一万倍どころか百万倍だ、という説もあって、犬語をしゃべれない限り正確なところは分からないのかもしれません。
ところで一般的に男より女のほうが、嗅覚が鋭いらしい。
生理中では男の百倍の嗅覚を持つというのは極普通で、中には10万倍に跳ね上がる女性もいるのだそうな。こうなると、もはや犬並みですねぇ。
こういう女性と結婚したら絶対に浮気はバレます。
女性にタバコを吸わせる習慣をつけたのはアメリカが最初なのですが、これは女性の嗅覚を鈍くして気づかれないようにするための男の悪知恵なのかもしれません。
さすがアメリカだ。陰謀大国アメリカ、多分、WASP達の考えたことです。
冗談はともかく、前に見た映画(スピーシーズ)でメスの宇宙人がオスの人間と交わり、子孫を残そうとうする場面がありました。
そういう中で、病気持ちのオスの人間が分かってしまい、交尾を拒絶するんですね。
案外、的外れではないんじゃないかな、と思って見ていました。
別に宇宙人じゃなくても人間のメスでも無意識にそういう判断をしているのかもしれないなぁ、と。
昔はその病気特有の臭いを嗅いで病気を判断していました。
東洋医学では「聞診」として残っています。
(聞くというのは音だけではなく臭いを嗅ぐという意味もあります)
現代医学では診断機器が発達していますから、そういう判断はしませんが、一部の地域では機器類が手に入らないので、そういう訓練もするとか。
小生もどのような病気がどのような臭いがするのかを検証したことはありませんが、
以下のように言われております。
癌(ある種の) ― 何とも表現できない悪臭
ジフテリア ― 甘い臭い(不快感を伴う)
湿疹・とびひ ― かび臭い
はしか ― むしりたての鳥の羽毛のような臭い
ペスト ― リンゴ
腸チフス ― 焼きたてのパン
黄熱病 ― 肉屋の店先のような臭い
しかしなんですね。中世ヨーロッパを恐怖のどん底に叩き落したあのペストの臭いがリンゴの臭いとはね。リンゴの香なんて大好きなんですけど。
焼きたてのパンだって良い香じゃないですか。
あとER的に緊急を要する場合、
アセトンのような甘い臭いだと、糖尿病でぶっ倒れたと判断するのだそうです。
アンモニア臭なら腎機能不全。便臭かったら腸閉塞とか。
ここら辺は常識の線ですね。
その病気が放つ特有の臭いがそのまま病名になっているものもありますよ。
オストハウス病。
オストハウスというのはビールを造る際に麦芽を寝かせておく倉庫のこと、つまり麦芽の臭いがする病気ということらしい。
メープルシロップ尿症。
文字通りメープルシロップの臭いがするのでしょう。日本人にはキャラメルの臭いがすると言ったほうが分かりやすいかな。
以上、「鼻の中の羅針盤」という本から抜粋しました。
これらはほんの一例でしょうね。
昔の名医達は常人には嗅ぎ分けられない微妙な臭いを基に判断していたのかもしれません。
男女に関係なく、人間はある臭いに鋭敏です。
それはメチルメルカプタン臭といって肉が腐ったときに放たれる臭いなのですが、ナント!1リットルの空気中に4000億分の1グラム、この物質が混じっているだけで、嗅ぎ分けることができるのです。
原始時代に獲得した身を守る能力の一つです。ほとんど超能力に近いと思うのですが、誰でもこの能力を持っているとは驚きです。
都市ガスにわざとこの物質を混ぜ、ガス漏れに気づくようにしていることは広く知られた事実でしょう。本来、天然ガスは無臭なのですから。
先日出会った元警視のお話。
その元警視さん、まだ下っ端だったころ。
現場で一番嫌な仕事をさせられたときの話を述懐しておりました。
郊外の林で首吊り自殺死体が発見されたんだそうです。
上司とともに駆けつけたわけですが、現場はその状態のまま。
そこで上司が言いました。
「おい、おまえ!ホトケさん下げてこい!」
「ええっ私ですか!」
「おまえしかおらんじゃないか!いいから下げろ!」
上司の命令に逆らうわけにはいきません。
縄をちょん切ればいいだけだと思うでしょうが、そうすると落ちた拍子に遺体が傷む可能性があります。
そこで、はしごに登り、遺体に抱きつくんだそうです。
抱きついたまま、他の人に縄を切ってもらい一緒に落下するのだそうな。
遺体を傷つけないことが目的ですから、自分のほうから落下し、遺体は自分の上、つまり自分が遺体の下敷きになるように落ちるんだそうですね。
落ちた瞬間、遺体が自分の上に覆いかぶさるような格好で、しかも遺体の顔と自分の顔がくっついた。
「まあ言ってみればホトケさんとキスですな」とおっしゃっておりました。
ある時は滝つぼでぷかぷか浮いている自殺死体があったそうな。
このときも上司の得意なフレーズ。
「おい、おまえ!ホトケさん引き上げろ!」
「ええっ!どうやってですか!」
「あそこまで行ってだよ」
「だって水の中ですよ」
「見りゃ、わかるよ、おまえが水の中に入って引き上げて来るんだよ!」
背広を脱ぎ、ズボンも脱いで、冷たい水の中へ入って行ったのだそうです。
何日も経っている遺体らしく、膨れてとてつもなく大きく、しかも岩場で何度も打ちつけられた遺体だったらしい。まるで、轢死体を水につけておいたような・・・・
そういう現場でそういう作業した日は必ず、家族から「お父さん、臭い!」と言われたと。
「風呂に入ってゴシゴシ洗ってもとれんのだよ、臭いが」と元警視。
メチルメルカプタンの威力は凄いものです。
臭いは音速を超える?
断食をするとあらゆる感覚が鋭敏になると言われております。
その中でも食べ物の匂いには敏感になるとのこと。さもありなん!
昔読んだ本に断食経験者の体験談が載っていました。
断食中にやきいもの匂いがしたらしい。
近くにやきいも屋でも来ているのか?と思って、かなり時間が経ってから「いしや~きいも」というお馴染みのフレーズが遠くのほうから聞こえてきたというもの。
つまりスピーカーから流れる音が聞こえる遥か前より匂いをキャッチしていたものらしい。
極微量の匂いの分子に反応したのか、それだけではなく、匂いというのは空気中を漂ってくるものではなく、空気分子に転写されてくるものなのか。
この著者は大学の先生なので、この話を学生の前でしたら、ある学生が「餓鬼道の世界ですね」と言ったらしい。それで他の学生が大笑いし、腹が立ったのでその話は止めてしまったとのこと。
宇宙物理学でいう位相転移という現象かもしれないという深遠な科学の奥義を聞けるチャンスを学生達はみすみす逃してしまってバカ共が!と思い、それ以来、ヒトの話にはチャチャを入れまいと決心しました。
科学はときとしてSF小説よりも奇なる仮説を立てるものです。
宇宙誕生時(ビックバン)、猛烈な勢いで爆発し(現在も爆発しつづけ)、150億年だか経た姿が現在の宇宙なのだそうです。しかし、単純にそう考えると、矛盾が出てくる。
超えられないはずの光速をある時期、超えないと現在の宇宙の姿にはならないそうな。
それで考え出されたのが位相転移という現象。難しくてよく分かりませんが、数学的には「あり」なのだそうです。
匂いの分子が位相転移するなら、音速どころか、光速さえ超えます。
まあそんなことにはならないとは思いますけど、ロマンがあるではないですか。
ところで現在知られている生物の中でナンバーワンの嗅覚の持ち主はご存知でしょうか?
犬でも熊でもありません。
カイコ蛾のオスです。
メスのカイコ蛾が発する微量なフェロモンを嗅ぎつけ10キロ先からやってくるのだそうです。こうなると、そのフェロモンの空気中の量はもはや計測不能なくらい薄い。
化学的には「無い」も同然です。それでも嗅ぎつけるのですから、一体どうなっているのでしょう。
生き物というはそれぞれが超能力の持ち主というか、存在自体が超自然現象のような気がしてきます。
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