骨盤ケア
骨盤を矯正するという概念は何時頃からあったのでしょうか?
産後の恥骨の歪みをふくらはぎに灸点を下ろして治したという言い伝えがあるくらいですから、少なくとも江戸時代にまでは遡れるようです。
明治以降、現代までは西洋手技の影響(カイロ・オステなど)を受け、民間療法に吸収されていきました。所謂、「骨盤矯正」と呼ばれる民間療法です。
この方法はすでに当局(当時の厚生省)の通達によって、指圧には当たらないとし、当該法規には抵触しない旨の確認が行われています。
最近では機器類の業者が骨盤矯正目的の健康器具などを売り出し、一種のブームのような様相を呈しておりますが、商品名に「矯正」という言葉を入れるのは法律上できないようなので、「骨盤ケア」「骨盤ダイエット」などのサブタイトルを付けているようです。
実は小生、試してみたことがあります。
エアーを使う本格的なもので、業務用といっても良いくらいの製品でした。
その日は普段とは違い、相当に歩いたのですが、日頃の運動不足がたたって足首が途中で痛くなってしまいました。
他人様の足首の拘束を取る仕事を生業にし、かつ、運動不足の弊害を訴えている自分がそういう状況に陥ったのですから、シャレになりません。
しかし、足がまともに地につかないほど痛みましたから、これは早いうちになんとかしなけれなば固着し、持病になってしまったら、長いこと苦しむことになるぞ、と経験上分かります(嫌というほどそういう人を見てきていますからねぇ)
だんたまたま、訪問先がサロンでした。そこに骨盤の矯正機がおいてあったのです。
商品名は骨盤ダイエット「リセッティ」というものでしたが、そもそも、ダイエットには興味がありません。
しかし、原理的には股関節、仙腸関節などを調整する機器です。
日頃、仙腸関節、股関節、膝関節、足関節の関連性を訴えているわけですから、若しかしたら、この機器で足首が治るかもしれないと思い、体験してみました。
15分で終了するのですが、最中、股関節の矯正感をはっきり感じましたし、仙腸関節が動くのも感じました。(う~ん、中々いい感じかも・・)
そして、終わったあと、あ~ら、不思議!足首の痛みは全く消えていました。
足首に触りもしないのにです。確かに矯正されていたのです。
一応は手技法家ですので、どちらかというと機器類をバカにする傾向があるのですが、このときばかりは、感心することしきりでした。
メーカー各社も力を入れて開発しているようです。
「骨盤の歪み」とはよく聞く言葉かと思います。
骨自体が歪んでいるのであれば、これはもう、骨の病気か、事故以外では考えられないので整体適応症ではありません。
整体で対応できる骨盤の歪みとは、仙腸関節の潤滑不全、恥骨のズレ、そして腸骨と仙骨をしっかり挟みこんでいる股関節も骨盤の歪みの概念に入ってくるでしょう。
恥骨のズレはそれほど多くはありませんが、出産後に腰痛が出た方は一応疑ってみるべきかと思います。或いは階段を踏み外して恥骨がズレてしまう人も稀にいます。
仙腸関節と股関節、特に股関節の歪みがありますと、必ず仙腸関節の不全運動が起きてきますので、重要なところではありますね。
リフレクソロジーでいう「股関節の反射区」は反射率が低く、実用性がありませんが、リフレクソロジー自体に足首の拘束を緩める効果がありますので、股関節痛やそこからきている腰痛などが鎮まることがままあるわけです(足首の動きが悪いと膝、股関節に負担がいきます-三関節原理)。
股関節の反射区操作はクラッキングまでは必要ありませんがややスラスト気味に行えば、より足首が緩むと思います。
さて、直接的な股関節へのアプローチは様々な方法がありまして、この方法が正解だとは言えません。しかし、様々な流派のやり方を注意深く見てみると、ほぼ同じ原理で行われているのが分かります。
技法が若干違うというだけのことが多いので、自分に合った、若しくは環境(ベッドの種類、或いはベッドを使わない施術など)を考えて研究すれば良いのではないかと思う次第。
とは言っても、股関節にアプローチする方法をザッと思い浮かべてみれば、経絡操作を含めて20種類以上はありますから、やはり習ったほうが効率的かも知れません。
いずれにしても、股関節の狂いから、仙腸関節に影響が及んで歩行がおかしい人がたくさんいます。やがて愁訴に至る予備軍ですので、将来のお客さんになる人がそこにも、ここにも、あそこにも・・・という感じで、癒し系が流行るはずではあるなぁ、といつも思うのでした。
骨盤には周期的な開閉期があるのだそうですが、出産時に恥骨結合を解くホルンモンが出るところをみると、そういう説も成り立つだろうな、と思います。
とすると、内分泌系や自律神経系もまた骨盤の歪みの原因にもなりえますね。
そういえば、昔、リフレクソロジーで極端な瀉法を使っていたとき、リフレのみで骨盤の歪みが直ったという方がいました。
これは間違いなく、自律神経系機序が働いた例ではありますね。
まあ、面白いものです、ヒトの身体というのは。
※クラッキング=音を鳴らすこと
※スラスト=スラストメント(衝撃圧)
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