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悪性リンパ腫

先日、腎臓病が専門である内科のドクターがクライアントとして来られました。

人工透析の草分けといいますか、その道の権威といいますか、随分と長く医師として活躍してきたようです。

今は引退し、悠々自適の様子。
大きな透析センターの院長を歴任されたそうで、偉ぶらず、穏やかな人柄の良い先生です。

紹介者の話によると、患者さんからの人気も高く、引退した今でも前の患者さんから頼りにされているとのこと。

なるほど、さもありなん!という感じの紳士なのでした。

その先生の奥様が最近、悪性リンパ腫に罹り、その顛末を教えてくれる機会を得たのですが、ドクターであるその先生が驚いたという話です。

「僕の若い頃は悪性リンパ腫なんてのは不治の病の典型でね、もうそれに罹ってしまったら命はないものと諦めなければならなかったのですよ。しかし、今は違うんですねぇ。驚きましたよ。ここ5年くらいで治療法が劇的に変わって、もう治る病気になっているんです」

「はあ、そうなんですか」

「そう、治癒率が95%ですよ、人間60歳にもなると、なんの病気がなくとも5年以内に死ぬ確率は5%くらいはありますから、95%なんていうのは、ほぼ全治する病気と言っても過言ではないねぇ」

「そりゃ凄い!どういう具合に治療法が変わったんですか」

「数種の抗がん剤と免疫療法でね、組み合わせをするようですね」

「新薬ですか?」

「まあ新薬といえば新薬です、ここ5年くらいの話だそうです。幸い、保険が利く治療法になったのですが、保険適用の薬の中では一番高いんじゃないかな。保険が利いても一回あたりの治療費が8万5千円もかかってビックリしました。保険が利かなかったら30万ですよ」

「結構しますねぇ。命には代えられないですけど」

「まあ、そうです。それにしてもこの療法は面白い性質を持っていましてね、悪性度が高いほどよく効く。妻は2番目に悪性度が高くてね。これはラッキーだなんて・・変な話ではありますね」

「お元気になられたのですか?」

「お陰さまで・・今のところガンは完全に消えています」

概略ですが、小生との間に以上のような会話が交わされました。
医師でさえ、専門が違うと最新医療の現状を知る機会というものはありません。
(勿論、この先生、腎臓病に関しては最新中の最新医療を知っているのでしょうけど)

ましてや素人はその病気にでも罹らない限り、治療法の劇的な変化を知る機会など滅多にあるものではないでしょう。

我々自然療法家が訴えられ、裁判に負けるケースを精査してみると、基本的には、正規の医療を受けさせる機会を奪ったという理由が多いものです。

技法や考え方が違法であると判断されたケースはないはずです。
(当たり前ですけど)

いくら医療不信があるとは言え、全ての病気についての最新知識を持っているわけではないはずですから、専門医の受診を薦めることは当然として、自身もアンテナをはって、知識の向上を図らねばなりません。

クライアントの医療不信に乗じて、いたずらに施術を長引かせることは厳に慎まねばならないわけです。
専門医にかかった上で良き相談役という役割もまた担う必要がある所以です。

しかし5年前というと、小生はもうすでに麻布に来ていました。
ほんのちょっと前という感覚です。5年前なら助からないものが、今なら楽に助かるというのも凄い話です。

この仕事に関わってから悪性リンパ腫で亡くなった方が4人います。
そのうち一人はまだ子供が生まれたばかりという青年でした。
あ~今なら・・・と思い起こしました。

直接、施術し接しているだけに悔しい思いもするのですが、「寿命とは天命である」とは蓋し至言ではあります。

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