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不動関節

Photo頭蓋縫合関節が不動関節であるというのは医学的常識で、日本の解剖学の本にも書いてあります。

ところが、幾多の研究者の研究によって、頭蓋縫合は明らかに可動し、開存している、という結論が出ているわけです。

イタリアあたりの解剖書では可動関節であると明記されているそうな。
保守的な日本の医学界で、可動関節に変更されるのはいつのことになるやら・・・

まあ、小生は解剖学者でも医師でもありませんので、日本の解剖書にどう書いてあろうと、頭蓋は動くという前提で施術しても、村八分にされることはありません。

縫合が可動関節という前提に立つと、違った風景が突如として目の前に現れます。

普通の関節は(例えば肘とか膝とか肩とか)、動きが悪いと、自覚的にも他覚的にも感ずることができます。

ところが、頭蓋縫合はどんなに動くと言っても最大で250ミクロン。控え目の研究者はその10分の1しか動かないとも言います。

この程度では動きが悪いなどと自覚することも出来ませんし、他覚することも困難になります。そこでCRI(リズミック・インパルス)を検出するために、大泉門(ブレグマ)あたりで指を静止させ、ず~っとただひたすら感じる手法を取るわけですね。

経験を積むと、確かに呼吸のリズムとも心拍とも違うリズムを感じてくるのですが、なにせクラニアルの技法そのものは静止系が多い。しかも軽いタッチで。これは何を意味するかというと時間がかかる、ということです。
(Dr.アプレジャーは5時間かけてやったなんて話もあるわけで)

全身的なアプローチをする施術家はやることがたくさんありますね。
時間に限りがあるというものです。

そこで全く違うアプローチを取ることを考えました。
頭蓋縫合が可動関節であれば、そこにサブラクレーションという概念の入る余地が入ります。正確ではありませんが亜脱臼と訳されます(この訳し方には異義があるのですが、話が逸れていきそうですから、不服ながら亜脱臼にしましょう)
これを探せば良い。そしてこの亜脱臼は大概の人で触知し得るものだと結論づけました。

頭蓋は大陸移動に似ています。
胎児のときは完全に23枚の骨に別れ、骨と骨の間には膜があります。
そして新生児から幼児、そして青年期にかけて頭蓋のそれぞれの骨が接近していき、ついには縫合部を形成するに至ります。

このとき、接近が強すぎると、ちょうどインド大陸がユーラシア大陸と接近しぶつかったときに生じたヒマラヤ山脈のような状態を呈します。

凸もあるなら、凹もあります。つまりイビツにくっついてしまうわけです。
これは少しの訓練で誰でも触知し得るものです。

クラニアル施術者なら、経験していると思いますが、やけにブレグマを探しやすい人、逆に探しづらい人。同じ冠状縫合上でもある地点でははっきりとした段差があるのに、ある地点では縫合そのものを触知するのに苦労する場合とか。

縫合ドレナージュをかけていけば、余計なものが取れてかなり触知しやすい状態にすることができますが、それでも、縫合を感じるのに部位によって随分と違いがあるものですし、個人差がとてつもなく大きいものです。

さて、問題は技法です。クラニアル系手技というのはスカルプ系とは違って、脳膜、さらにその奥、つまり脳そのものに働きかける技法です。

表層部に対するスカルブ系が割りと力強い手技を用いるの対して、クラニアル系は深層部へ働きかけるにも関わらず、軽いタッチを用いるのは人体の不思議さを表していて興味の尽きないところですが、先人の経験知を信じましょう。

だから軽いタッチでやることは譲れない一点です。
頭蓋縫合部の凸凹を完全に取り去ることは軽いタッチであろうが、力ずくであろうが無理です。

要するに機能障害の除去、つまり非線形機序が働けば良いのですから、凸凹は施術部位の基準にはなりますが、それをフラットにする必要はありません。
(線形機序と非線形機序についてはリフレパシー随想カテゴリーでアップしてあります)

見つけ出したヒマラヤ山脈なりグランドキャニオンなりに対して、時計と反対回りにドレナージュし続けます(あくまでも軽いタッチで)。それを次々と追っていくわけです。

これをやりますと、クラニアル手技が何故、非観血脳手術と言われているのか実感できますよ。気持ち良いにも関わらず強力です。

こんな軽いタッチなので安全だと思うかもしれませんが、トンデモナイ。
ある意味、スラストより危険かもしれません。

だから、これは良いことを聞いた、と真似しないでください。責任は取れません。
あくまで基本、つまりオーソドックス・クラニアルを身に付けていないと危ない技法です。
その代わり、時間短縮の上、効果が高い。

明らかに閉存から開存への移行が施術後のクライアントの様子からも伺え、効果の高い技法かと思います。

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