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静止点誘導

クラニアルの動きを捕捉するのに、物理派とエネルギー派とがいます。
前者の代表はアプレジャーで後者の代表はフルフォードでしょう。

物理派というのは、脳脊髄液の循環が脳膜の膨張と収縮を生み出し、それが頭蓋を通じて物理的に感じられるというもので、エネルギー派はある種の生命エネルギーのインパルスをダイレクトに手に感じるというものです。

物理的な動きを捉えるのではなく、エネルギー波を捉えるという意味において、エネルギー派のほうが、よりスピリチュアルな感じがしないでもありません。

しかし、物理派においても、その動きは極めて微細なものですから、それを感知するには、これもまた無意識にスピリチュアルな感受性を使っているのかも知れず、その境界線はどこかで重複しているような気もするわけです。

脳脊髄液の物理的な動きがリズミックインパルスの正体であるとする物理派はその主張において独特な理論を展開します。

これが表題の静止点誘導という概念です。
基本的にどんな人でも頭蓋の動きはあるのですが(余程閉じている人以外は)、治療が成ったという目安として、リズミックインパルスが止まる時点を重要視するのです。

言ってみれば意図的に脳脊髄液の循環を止めるわけですね。
そうすると、リズミックインパルスが止まる瞬間を捉えなければいけません。

このとき、何かが身体の中で起き、良い機転につながると主張します。
「何かが起きる」と言われても何が起きる?反問したくなるような表現ですが、おそらくは“再構築”なのでしょう。“リセット”と言い替えても良いかもしれません。

いずれにしても脳脊髄液の循環という物理的な現象を基礎とする理論は、静止点に導くということを眼目とするわけです。

この静止点というのものは、確かに存在します。
力強く、しっかり動いていると感じていたものが突然止まるというようなことが実際あるわけで、そういう経験をしている術者も多いのではないでしょうか。

しかし、静止点に達するにはかなり長い間、タッチしていなければならず、根気が必要です。しかも、これは純粋な治療技術ですから、ただタッチされいる状態が15分も続くとクライアントとしては途中で目覚め、「何をやっているのかしら?」と感じてしまうことでしょう。

要するにクライアントをして考えさせてしまうような施術は、それだけで脳の働きを活発にし、副交感から交感へスイッチされてしまいかねません。

この辺は事前によく説明することでほぼ解決できると思いますが、問題は施術者の集中力が続くかどうか、ということです。

力は全く使わない施術ですが、多大な集中力を要する技法です。
集中力というのは肉体、精神のエネルギーが充実していませんと、中々持続できないものです。

ためしに、15分間同じところを押え続け、全く集中力が切れないかどうかやってみれば分かります。素人では絶対に無理です。たった15分でも無理なのです。
(多分、他のことを考えてしまうでしょう)

施術家は当然、プロですからそれを訓練によって克服しますが、よく鍛えられた施術家であっても、体調の波というのは誰にでもあるものですから、持続出来るときと出来ないときがあります。

単純な技ほど難しいというのは小生の持論ですが、単に頭蓋にタッチするだけという単純といえばこれほど単純な技法はもう他にありようがないわけです。

単純推圧でさえ、圧を加えるわけですから、頭蓋にタッチし続けるというのは如何に単純で如何に難しいかが分かって頂けるものと思います。

人というのは動きがあればその動きに集中できますから、ついつい手を動かしたくなりますわね。それが所謂マッサージ的な動きでもあり、アジャスト的な動きでもあります。

動きがある技法というのは難しそうに見えますが、実は単なる技術ですから、習得さえすれば難しくないのです。

スラスト系であっても、一見難しそうに見えますが、実はやるだけなら少しの訓練で出来るようになります。(中途半端に出来てしまうから事故が多かったのですが)

施術家を志す人でやはりこういう動きのある派手な技法を好む一群の人々がいますが、それはそれで否定するものではありません。

しかし、忘れて頂きたくないのは、動きのない、決して派手ではない技法にこそ、汲めども尽きぬ難しさと奥深さがあるということです。

小生思うに、静止点の発見は手技療法史上、「頭蓋は動く」という発見に匹敵するほどのものだと思います。

しかし、感受性とともにその技法は難しいのです(集中力の持続が難しい)。
何事も一朝一夕では成し遂げられません。

使い続け、磨いていくより他ないのです。
それが楽しくなるまで
(楽しいと集中力は持続するわけですから)

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