5グラムタッチ
現在主流のクラニアル・マニュピレーション(頭蓋療法)における圧の加減のことです。
施術者によっては5グラムでも強い!3グラムタッチだ!と主張する人もいます。
いずれにしても1円玉で3枚~5枚くらいの重みしか加わらないのですから、極めて弱い刺激量と申せましょう。
普通に考えれば、そんな程度の刺激量で効くのかしらん?と思われるのではないでしょうか。ところがさにあらず!頭に関してだけは、この刺激量がもっとも効くのです。
試しに、強めの圧でブレグマを押さえ続けてみてください。
10秒くらいの持続圧でもう圧迫感を感じ、不快感が生じてしまいますから。
ところが5グラム程度の圧ですと、逆に不思議なリリース感を覚えます。
敏感な方なら、首や肩まで緩んできて、それが背骨に伝わり、場合によっては仙骨にまで達することを感ずることさえあります。
どうしてこのようなことが起きるのか?
ブレグマにしても、他の部位にしても頭蓋療法のオーソドックススタイルは非常に長い持続圧が前提になります。この時、強い刺激ですと、敏感な頭はシツコイと感じてしまい、刺激を防御しようとします。ここに緊張が生まれ、不快な圧迫感のみを感じてしまう原因となるわけです。
では持続圧を使わず、リズミックな短スパンでの押圧ではどうか?
確かに、これは一般にいう指圧の要領ですから、気持ちが良いかもしれません。
しかし、圧は表層で留まってしまい、皮膚、筋筋膜には影響を与えることができますが、 縫合部や脳膜、さらに脳、さらに脊髄への浸透が得られません。内部へ浸透させるには弱い刺激でなければならない、という一見すると物理法則に逆らっているかのようですが、生理現象を加味するとこのようにならざるを得ないのです。
5グラムタッチは力が要らないため、簡単そうに思えます。
しかし、弱い圧ほど安定させるのは難しく、気持ちや身体に力が入っていると、指先が微 妙に震えてしまいます。
この微妙な震えがありますと、被術者は安定感を得られず、ほとんど効き目がありません。ピタリと5グラムで圧を安定させることが出来るにはそれ相応の訓練が必要な所以です。また、CRIを感じるための必須条件でもあります。