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貝殻骨(かいがらぼね)

 肩甲骨のことを「貝殻骨」ともいうことを知ったのは10年ほど前のことでしたでしょうか。
 小生よりも随分年上の上司が初めて口にしたとき、何かの間違いではないかと思ったくらい違和感のある表現でした。

 しかし、調べてみると確かに貝殻骨とも言うわけ。形が貝殻に似ていると思ったのかどうかは分かりませんが、昔の人は肩甲骨のことを普通に貝殻骨と呼んでいたらしく、意外に「肩甲骨」という表現は新しいようなのです。おそらく解剖的知識が普及してからのことなのでしょう。

 形云々はさて置いて、肩甲骨と二枚貝の共通点はもう一つあります。
 二枚貝もジョイント箇所が一つしかありません。
 そうです。肩甲骨もまた他の骨とのジョイント箇所が一箇所しかないのです。鎖骨です。
あの大きな骨が鎖骨とのジョイントだけしかないというのは意外かもしれません。

 つまり身体の中で浮遊しているような骨なのです。勿論、筋群が支えとなって、一定の場所に位置しているのですが、当然ながら筋群の衰えとともにその位置が変わってしまいます。ほとんどの場合、身体の前面の方向にズレていくでしょう。

 またジョイントしているはずの鎖骨はさらに胸骨にジョイントしておりますから、肩甲骨の前面部への移動は肩こりの原因になるばかりではなく、鎖骨を通して胸骨に影響を与えてしまいます。

 胸骨の微細運動の重要性は今更述べるまでのないことです。胸部リンパ流に影響を与えるだけでなく、「胸が痛む」という慣用的表現があるが如く、ある種の精神的問題も引き起こしてしまいます。

 昔から「病膏盲に入る」という表現があるように、肩甲骨の位置異常は多方面に影響を及ぼすということについての先人達の知恵だったのかも知れません。

 しなやかで強靭な筋肉をいつまでも保持していられるはずはありませんが、少しでも老化を遅らせることは可能です。
 コリの悪循環を断ち切れば、それなりに血流などが確保され、ある程度は若くいられます。あとはライフスタイルの問題としか言いようがありません。

 肩関節の前方変位を招かないような姿勢やら、筋トレやら・・・
 それらが中々難しい場合は整体で定期的な微調整をするに如(し)くはないでしょう。

 整体的なアプローチは様々な方法論があると思います。
 どれが一番良いか?というのは中々言えるものではありません。小生の場合、軸圧法と増永師の肩関節前方脱臼矯正の技法を織り交ぜて使っていますが、良い効果を挙げているようです。特に増永師の前方脱臼矯正法は良く考えているなぁ、と感心することしきりです。

 オリジナルなのか、父親が柔道家だったというところから、元は柔道整復の技法なのかは分かりません。どちらにしても理に適っていると思います。

貝殻骨でも吸殻骨でも良いのですが、少なくとも不健康骨にだけはさせたくないものです。

※肩甲骨は上腕骨頭ともジョイントしておりますが、支えになっているという意味では違います。一応、それを書いて置かないとね。

呼吸とクラニアル

 鼻で呼吸をしますと、当然ながら、その呼吸に合わせ、鼻腔が広がり、また元に戻るという一種の膨張と収縮が行われます。これは自分で頬骨を軽く押さえ、少し深めの鼻呼吸をすれば誰でも感じることができるでしょう。口呼吸と鼻呼吸の両方をやってみるとより違いが分かると思います。

 つまりクラニアルは鼻呼吸によっても若干ではありますが、動いているわけです。
 そして顔面骨にそれが著しく現れます。

 口呼吸の弊害は様々な観点から語られますが、クラニアルの観点から語られることは少ないと思います。そうです。口呼吸はクラニアルの動きを促進しないのです。

 それが習慣となって、長い間積み重なっていくと、脳脊髄液循環が悪くなるのは当然として、直接的には顔面部の体液循環(リンパ流、血流)の悪さに繋がっていき、老けた顔になりやすいのは容易に想像できるでしょう。
 口呼吸は健康上よろしくないのは当然として、美容にも影響を与えてしまいます。
(美容と健康は表裏一体ですから当然ですが)

 さて、クラニアルはこの呼吸のリズムによっても動くわけで、しかもCRIより容易に検出しやすいものと申せましょう。

 そうすると、クラニアルの動きは呼吸とCRIとが混在していることになります。より検出しやすいのが呼吸のリズムですから、それをCRIだと誤解する向きもありますが、呼吸とは全く違う動きなのです。しかし、そうは言っても、いきなりCRIを捉えることはできません。何かとっかかりみたいなものが必要です。

 呼吸のリズムとCRIは整数倍関係にありますから、そこには最小公倍数というものが存在して、必ず、呼吸とCRIが一致する瞬間があります。この時に動き幅が増幅されて、大きな動きとして捉えることが可能です。

 それをとっかかりとして、感じ取るのが実はコツなのです。最初はどう考えても呼吸のリズムとしか思えないものが、やがて明らかに呼吸とは違うリズムで行われている動きを感じ取ることが出来るようになってきます。
かなりゆっくりな人もいますし、呼吸よりちょっと遅いくらいの人もいます。

 この動きが足の裏でも取れるのは、CRIが頭蓋だけの動きではなく、背骨全体の伸展と屈曲を伴うからに他なりません。
 つまり、我々の身体は黙っていても伸び縮みしているわけです。
 (意識できないほどに微細ではありますが)

 いずれにしても呼吸数と心拍数が違うと言っても決して無関係でないのと同じように、呼吸とCRIも無関係ではありません。整数倍の一致点があって、そこを捉えることから始めると、検出する訓練としてはやりやすいのではないかと思う次第です。

※頭蓋のことをクラニアルと表記しましたが、正確な言い方ではありません。名詞として使うならクラニウムが正解です。が、馴染みのある言葉をあえて使いました。
因みにクレニオという言い方がありますが、これはDr.アプレジャーの造語で商標権が存在します。不用意に使っている流派もありますが、感心しません。

5グラムタッチ

 現在主流のクラニアル・マニュピレーション(頭蓋療法)における圧の加減のことです。
 施術者によっては5グラムでも強い!3グラムタッチだ!と主張する人もいます。

 いずれにしても1円玉で3枚~5枚くらいの重みしか加わらないのですから、極めて弱い刺激量と申せましょう。

 普通に考えれば、そんな程度の刺激量で効くのかしらん?と思われるのではないでしょうか。ところがさにあらず!頭に関してだけは、この刺激量がもっとも効くのです。

 試しに、強めの圧でブレグマを押さえ続けてみてください。
 10秒くらいの持続圧でもう圧迫感を感じ、不快感が生じてしまいますから。
 ところが5グラム程度の圧ですと、逆に不思議なリリース感を覚えます。
 敏感な方なら、首や肩まで緩んできて、それが背骨に伝わり、場合によっては仙骨にまで達することを感ずることさえあります。

 どうしてこのようなことが起きるのか?
 
 ブレグマにしても、他の部位にしても頭蓋療法のオーソドックススタイルは非常に長い持続圧が前提になります。この時、強い刺激ですと、敏感な頭はシツコイと感じてしまい、刺激を防御しようとします。ここに緊張が生まれ、不快な圧迫感のみを感じてしまう原因となるわけです。

 では持続圧を使わず、リズミックな短スパンでの押圧ではどうか?
 確かに、これは一般にいう指圧の要領ですから、気持ちが良いかもしれません。
 しかし、圧は表層で留まってしまい、皮膚、筋筋膜には影響を与えることができますが、  縫合部や脳膜、さらに脳、さらに脊髄への浸透が得られません。内部へ浸透させるには弱い刺激でなければならない、という一見すると物理法則に逆らっているかのようですが、生理現象を加味するとこのようにならざるを得ないのです。

 5グラムタッチは力が要らないため、簡単そうに思えます。
 しかし、弱い圧ほど安定させるのは難しく、気持ちや身体に力が入っていると、指先が微 妙に震えてしまいます。
 この微妙な震えがありますと、被術者は安定感を得られず、ほとんど効き目がありません。ピタリと5グラムで圧を安定させることが出来るにはそれ相応の訓練が必要な所以です。また、CRIを感じるための必須条件でもあります。
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