気まぐれな天応穴(てんおうけつ)
天応じ、地響く処の穴、即ち「天応穴」。
以前書いたとおりの天応穴ですが、人によって現れる場所が全然違ったりして気まぐれです。それどころか、同じ人でも現れたり現れなかったり、と益々不可解なシロモノ。
今日はそんな気まぐれな天応穴に関する話題を一席。
先日のクライアントさんは右五十肩の症状に今年の一月から苦しめられています。 足裏は反応がありませんでした。どこの部位でも響くところなし。
右前頚部(斜角筋)は、ほとんどの場合、響きますから、前回の処置はこの部位と腕の経絡が重点でした。
今の状態では即完治など誰がやっても無理ですから、痛みで夜中に目を覚ましてしまうという状況を少しでも改善できれば、という思いでした。
一週間くらいは何とか夜中の目覚ましから逃れたものの、それを過ぎればまた戻ります。そんな中で再度来られたわけですが、さて、今度は天応穴が現れていました。
右足裏です。湧泉~足心~失眠のラインはほぼ肩に響きます。そして、足心からやや外側にズレた一点に強烈に響く天応穴が出現していたのです。これには驚いた様子でした。
小生も驚きました。前回は全くなかった穴なのですから。
劇的!ドラマティック!と何度もおっしゃっておりました。
「こんなんだったら、施術の期間をもっと短くすれば治るんじゃないかしら!」
「まあ、世の中、そんなに甘くないですよ、でも治癒までの期間は短縮されるでしょうね」
「じゃ!回数を増やします!こんな状態が一年も一年半も続くなんて考えただけで気が狂いそう」
「でも半年は覚悟しないとね、夜痛みで何度も目覚めるのは重症の方ですから」
「半年でもいいわよ。響いて肩がスッと軽くなったんだですもの」
というわけで施術から施術へのスパンを短くしたわけです。
シミジミ思いましたねぇ。天応穴は気まぐれだなぁ、と。
(今度は右足裏で足心外側かぁ)
しかも劇的というくらい響く。
神経解剖学では決して説明できない現象でしょうね。さらにトリガーポイント理論でも全く説明できません。なにせ足裏ですからね。
そもそも響きという言葉は鍼で使われた言葉です。
それを増永師が転用して手技でも使うようになったのですが、足裏の世界で初めて使ったのは小生です。
しつこいようですが、世界中で知る限り、小生が最初なのです(他にいたら浅学菲才をお詫びしますけど)。
リフレには響きの概念がありません。現在のリフレではいかに的確な部位を押さえたとしても、そういう技術が存在していないのです。それなりに長い歴史の中でさえ、響きによる治癒機序に到達していないというのは未だ技術的に未完だということでしょう。
秘かにオステのスラストやカイロのアジャストに匹敵する発見ではないかと・・・・(ちょっとだけ自負しています)
小生の代では蜃気楼のような足裏天応穴の発見がやっと、というところですが、次世代は的確な位置を知る方法論が確立されるのを期待しています。しかし、如何せん、継承者の数が少ない。何万というオーダーのリフレクソロジストがいるにも関わらず!
やがて伝承が途絶えてしまうかもしれません。
(そうなるととても寂しいのですが止むを得ません)
強い圧じゃくて突き抜けていく圧を使うのですから、技術的には難しいものです。複雑なテコの原理を我が物にしなきゃいけないわけでして・・・
なにはともあれ、天応穴、これからもどんな気まぐれぶりを見せてくれるのか、楽しみなところではあります。
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