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腹証あれこれ・・・

 腹証を題材にして開催した三水会はもう一年も前になりますか・・・早いものです。

 前にも書いたと思いますが(或いはHPか)、小生に腹証の意義を再認識させた人は増永師の他にあと二人ほどいます。
 たくさんの記事があって、全部読んでいない人のために、もう一度簡単に書いてみましょうか。

 一人は出光興産の創業者(出光左七氏)。90歳を超えて尚、陣頭指揮を執っていたというもはや伝説上の経営者ですね。この方、幼少の頃より身体が弱く、20歳まで生きられないだろうと言われておりました。様々な病気に罹り、医者の予言が当たりそうな青年期を過ごしたそうです。
 そんな中での青年期、誰かから「腹を押す」と、これ以上の健康法はない、ということを聞いて、実践したそうです。

 すると様々な症状や病気が治っていって、一見腹とは何の関係もないような病気も治ったらしい(例えば歯槽膿漏とか)。それ以来、不調があれば腹揉み、小さな病気でも大きな病気でも腹揉みで全部治してきたそうです「あれはどんな病気でも治せるんだよ」と述懐しておりました(城山三郎との対談で)

 それを読んだとき、すでに増永師を通じて腹証のことは知っておりましたから、(なるほど、施術家じゃないけど、腹証の生きた実践者がここにいたんだなぁ、腹証ってやっぱ凄いんだなぁ)と再認識したわけです。

 90歳を超える天寿を全うしたのですから、大往生ですね。そして一代で築き上げた事業も現在後継者によって継続されています。
 出光の社員は腹証に感謝しなきゃいかんな-(小生、取引の関係で共同石油と縁が深かったのですが、出光石油にはそういう意味でシンパシーを感じているのです)

 もう一人は北里大学東洋医学研究所、初代所長の大塚敬節先生。
 この先生も文才があって書いたものを読むと、分かりやすくとても面白いのです。
「目が悪くても、足が悪くても、漢方では腹を診るんですよ、そこに原因があるんです」
と、目が悪いと言っている患者が怪訝そうに思っているのを察知して、優しく説明する件は人柄が滲み出ていて、名医だったんだなぁ、としみじみ思えます。

「中国においては滅んで伝わらず、日本人が日本人独特の感性によって作り上げてきた腹証は世界に誇る独特の診断法である」
 この一文に接したとき、小生日本人ですから、日本の先人達が並みの苦労じゃない苦労をしながら作り上げてきた腹証を無視することなど、絶対出来ない、と強く思った次第。

 漢方では腹を診ずして、診断が出来ないほど処方と腹証は密接です。
 逆にいうと腹を診ないで処方された漢方薬はかなりあてずっぽうで「証」が合わない可能性が高いわけだ。症状を聞いて、処方するのはまあ、医師でなくとも出来ます(薬剤師でも)

 腹部の施術だけ行って、処方しないのは手技の分野ですから我々も出来る。

 ところが、これが組み合わさったとき(つまり腹証によって診断し、処方すると)、医師できゃ出来ないというのが現行法での解釈です。
 しかし、医師の資格を得るのに腹証など必要ありませんから、これに通じている医師は極めて少ない、とまあ、こんな感じの状況なのです。
 だから、北里大学の東洋医学科などは予約しても三ヶ月も待たされる、ということになるわけ。

 せめて、手技において腹証を取り入れ、病気の根っこの部分に触れないとご先祖様に申し訳ないな、と、そんな風に勝手に解釈したわけです。

 よもや、出光の創業者も大塚先生も、一人の若き施術家(当時)がそんな勝手な解釈をして施術に取り入れるなどとは思ってもいなかったでしょう。

 優れた人の影響力というのは持続し、波及していくものですね。

 そんなこんなで、あれこれ・・・です。

 因みに腹部のリフレというのも最近あるらしい。
 人の商売にはケチはつけませんが、せめて、増永先生の著作や大塚先生の著作くらい読んでからにせい!と言いたくなるのは単なる僻みなのかな。

 全息胚(反射区)は理論的には身体のどこでもあり得るものですから、腹部をリフレの対象にしても構わないのですが、それにしても安直過ぎる。っていうか浅い。

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