漢方薬が保険適用外?
今話題の事業仕分け。
様々なメディアで色んな報道が為されていますね。
さて、この事業仕分けのやり玉に上がったのが漢方薬。
保険を適用させる意味があるのか?という必殺仕分け人の判断があって、これから議論することとなりました。
もともと漢方薬が保険適用になったのは、昭和40年代じゃなかったでしょうか。伝説の医師会会長 武見太郎氏が強力に行政にねじ込んだからだと言われています。功罪相半ばするといわれているこの会長さんですが、豪腕であったことは確かです。
一説によると、内科医院の7割から8割が漢方の処方を行っているとも言われており、医師会からの反発は必至でしょう。
また、ツムラや、小太郎、カネボウなどの漢方エキス剤のメーカーさんは存亡の危機になりますから、全力でロビー活動するでしょうね。
ツムラなどは「それをやられたらウチは倒産する!」とまで言っています。
対して、歓迎なのはドラッグストアーです。
医家向けと成分が変わらないのに、保険が利かないばかりに、高いものになっちゃってるっわけですから、モシ保険適用がなくなったら営業力では数段上のドラッグストアーに商機が訪れます。大歓迎!!というところでしょうな。漢方専門薬局も大歓迎!
一つの政策の変化が多様に影響するわけで、今更ながらに政治の重要さが分かります。
などと訳知り顔で述べるような立場じゃないのですが、実は消費者にも大きな影響があります。
漢方製剤を作っているメーカーさんは、医家向けによって、大量に生産することができます。大量に作ることができれば当然、コストが下がり、市販薬として店頭に並ぶ漢方薬もまた安くなる・・・・。
モシここで保険適用がなくなれば需要は激減します。最初は在庫一掃セールで安くなるでしょうが、長期的にみれば、生産コストが上がり、価格が上がることになります。
そして、買う人が少なくなり、漢方薬という一つのカテゴリーが衰退していくことだって考えられるわけです。
多分、相当に衰退しますね。
漢方は商品としてだけでなく、その診断方法に特徴があるわけで、その方法に精通しようとする人が少なくなるではないですか。
勿論、薬剤師も登録販売者も漢方薬を売ることが出来ますが、医師法によって身体に触って診断-つまり証を決定することが禁じられているわけですよ。
唯一医師だけが漢方に精通する可能性を持っていたものが、保険適用じゃないとなると、果たして何人の医師がこれを勉強しようとするでしょうか。膨大なエネルギーを使ってですよ。
今でさえ、正規の漢方診断ができる医師が少ないというのに、もっと少なくなります。
もう一つの可能性は逆に漢方診断の研究がより一層高まるというもの。
逆説的ですが、庶民には無保険の医薬は無理でしょうが、富裕層にはいくらお金がかかっても健康になれればOKという人たちもいます。
逆に言えば、あくまで漢方を標榜する医院は完全自由診療の世界になるわけだ。
歯科でお馴染みの自由診療は天井知らずの世界でもあります。
(歯に2000万円もかけたなんて人は富裕層にはザラにいるわけですよ)
そんなんで、お金になるんであれば真剣に漢方を研鑽する医師が増えるかもしれません。
庶民には手が出ませんが、結果的には質の高い漢方医が増え、その恩恵にあづかる層も出てくるかな~と。
逆張り戦略で、漢方専門を目指す医師が増えちゃったりもするかなぁ、とか。
どっちに転ぶか分かんないのですが、庶民にとって漢方は身近なものじゃなくなることだけは確かですね。
そもそもまだ本決まりじゃないので、あれこれ気を回す必要もないのですが、そういうことが仕分けの対象になったということ自体が驚きです。
医療も財政的にみれば大変な予算がかかっていて、もうアップアップ状態です。
少しでも減らしたいというのが当局の本音です。しかし、生命と安全を守るのは国の義務でもありますからね。アカラサマに予算減をするわけには行かず、そうしたところ(漢方)から切り込んでくるんだなぁ、とシミジミ思いました。
« 子宮が卵巣で卵巣が子宮 | トップページ | コリ »