« 癒し系と療術系 | トップページ | 頭蓋縫合早期癒合症 »

股関節の問題

(一) 

 股関節に隠れた問題があって、症状として出る症例は坐骨神経痛の大半、腰痛の一部、膝痛の大部分、足首、足底痛のかなり、そして、なんと!五十肩。

 五十肩の場合はどのような操作でも即効性がない場合が多いので、股関節に問題があると分かっていても、その場で満足させる結果にはならないものです。臨床的にはトリガーポイントを使うより他ありません。

 さてこの股関節。
 何度も紹介しておりますが、足関節と膝関節と股関節は互いに補正しあう関係、つまり三関節原理。この三関節原理の中でもっとも深刻な影響を与え、のっぴきならぬ状況まで追い込んでしまう関節が股関節です。

 なぜかと言うと、股関節は仙骨をテーパージョイントし、保持する役目があるからです。もしその支え(股関節)が狂えば当然支持されている仙骨の位置も狂い、その上部構造体である背骨も狂ってきます。つまり背骨問題は時として仙骨問題であると同時に股関節問題でもあるのです。

 仙尾骨~背骨~頭蓋に一連の関係を見出すことは、小周天(気功法)からもうなづけるところですが、小周天は閉じた系ではありません。当然ながら、股関節の狂いが小周天のバランスを失わせることがあってもおかしくはないのです。

 小周天を狂わせるとなるとこれは深刻!オステ的にいえば頭蓋-仙骨の一次呼吸阻害そのものです。

 ですから、頭蓋-仙骨のみのアプローチでは狂いを修正できない場面が多々あると感じてきました。そこでもともと出自である足揉みに注目し、そこから狂いを修正する方法論に行きついたわけです。頭蓋仙骨足底療法・・・前に述べたとおり。

 足底から股関節の狂いを修正するのは画期的ではあります。しかし、実際には時間がかかる場合も多い。直接的な股関節操作にその効果を一歩譲ること度々。

 ところが股関節操作は結構難しく、中々安全で効果がある方法を見出せずにおりました。

 股関節をもう一度入れ直すくらいの操作が必要ですからね。その語感からはどうしても暴力的な弄り方を連想してしまいます。
オステの技である「シカゴ」という技法を身につけようとしたり、私なりに必死でした。
(結局、これはかえって悪化させてコリゴリましたけど)

 そうこうしているうちに、日本ソフトボールのエース、上野某がオリンピックで身体を酷使しすぎ股関節の亜脱臼を患い、トレーナーが3時間かけてそれを治したというニュースを聞いたわけです。

 これは若干のヒントになりましたね。
 (そっか、一気にやろうとしないで、それなりに時間をかければよいのか・・)
 単純なことですが、それを「気付き」といいます。
 それに気付きさえすれば、そのトレーナーがどういう方法論を取ったかなど知らなくても全然構いません。それなりに経験を積んでいますから。
 仰向け、うつ伏せ、横向きの三方向操作を行えば矯正される確率が非常に高い。
 3時間はかかりませんが、重症なら、小一時間はかかるでしょう。

 ようやくの検証を終えて、この技法に自信を持ったのは最近です。
 技術に自信を持つようになればそれを使う頻度も多くなりますし、何よりも気持ちが入るんでしょうか。その効果は実に多方面にわたることが分かってきました。

 これは結構大変なことになってるかも・・・・。
 これほど多くの人が潜在的問題を抱え、現症状の原因、もしくは病の種になっているのに股関節療法がないのはなぜだろう?不思議・・・

あるとき気付きました。
これは股関節療法ではなく、骨盤療法に名前が変わっているのだな、と。
 骨盤療法を注意深く見てみると、骨盤というよりも股関節にアプローチする場面が多いようです。しかし、名は体を表すの如く、骨盤ですからね、股関節へのアプローチが多いとはいえ、意識がそこに向かいませんし、中途半端感は否めません。
 股関節を入れなおすくらいの気持ちがないと・・・股関節の拘束は取れないものです。

 決して暴力的な操作ではありませんが、圧と伸展と運動法を上手く組み合わせる必要があって、若干の経験と熟練が要ります。

 骨盤の重要性を否定するつもりはありません。しかし骨盤は結果であって、原因であることは非常に少ないものだと経験上、分かるわけです。

 何度もいいますが、骨盤を狂わせているその原因-つまり股関節へのアプローチを優先させたほうが、良い結果を生むんです。

 股関節を経絡的に俯瞰すれば、これはもう全経絡が走行し、あらゆる証があり得ることが分かります。

 特に股関節支配が強い大腸経、胆経に出やすいのです。

 トリガーポイント理論において中殿筋や小殿筋のトリガー形成と活性が腰痛の過半、坐骨神経痛の過半の原因としているのは偶然ではありません。まさにそこに胆経や大腸経が走行しているからなのです。

 逆にいうと、股関節問題の肝(キモ)は中殿筋と小殿筋ともいえるわけで、施術家であるならば探求していかねばならないポイントでしょう。

 股関節に問題があるかどうかを知るには受療者の自覚症状だけに頼っていてはダメです。
 症状が表れているときはもう相当に進行しているときですから。
 自覚のない潜在的な歪みを発見する方法はいくつも考え出されていて、どれも有効だとは思いますね。

 私自身は増永師が診ていた各経絡ポジションによる判定が手軽でもあり、正確さもあるので採用している次第。

 小腸経ポジション、脾経ポジション、場合によっては肝経ポジションで診ます。
 どちら側がツレているかで判断しますが、時としてツレていない方、つまりねているほうの側に問題がある場合もあるので要注意です。
 ですから、両方やることになる。結局両方やるなら検査する必要ないじゃか!という批判は当たりません。術者の頭に入るかどうかだけで、結果が違ってくるからです。

 あとは左右の屈曲制限を診ます。

 せいぜいこんなもんで充分でしょう。
 これらは施術者が問題あり!と判断するためにやるのであって、人に見せるものじゃないんです。

 歪みあり!と判定できれば施術に気持ちが入るではないですか。

 股関節は複雑ですので、施術後、目に見えた物理的変化がない場合もあります。明らかにツレがなくなり、見た目も違うも場合も勿論ありますが、その部分だけを期待しないほうが良いでしょう。見た目云々よりも今起きつつある変化が大事なのです。

 どのような変化が起きているのかを説明するのは難しいものです。

 股関節があるべき位置に戻り、血流、リンパ流が確保されている状態。表現するとすればこういう物言いが一番落ち着くかもしれません。

 折角、施術し、柔軟性を確保しても、男性であればお尻のポケットに財布を入れたり、女性であれば足を組む習慣が止められなかったりすれば、簡単に元に戻ります。それはもうおそろしくアッサリと。

 余談ですが、仙腸関節の調整も股関節の操作の中でやりますと、比較的簡単にできます。

 仰向け状態で膝を内側に入れ込んでいきます。と同時に踵をベッドに外に出すくらい外側にもっていくわけ。極端な内旋状態orX脚状態を作り出すのですが、女の子座りを仰向け状態でやると言い換えたほうが分かりやすいかもしれません。
 両側いっぺんにやってもいいのですが、ここはセオリーどおり片側づつ。
 この体勢は仙腸関節が一番緩みやすいものですから、揺らしながら微調整していきますとあれほど動かなかった仙腸関節が少しずつ動いていきます。
 硬い人は多少痛いかもしれません。
 仙腸関節矯正の印は足裏がちょっと熱くなった感じが多いようですが、個人差があるので絶対的なものではありません。

 

« 癒し系と療術系 | トップページ | 頭蓋縫合早期癒合症 »

フット・マニピュレーション系記事」カテゴリの記事