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施術による手指の痛み

 バーンアウト・シンドロームとはそのまんま、燃え尽き症候群のことですが、街のマッサージハウス等、手技による癒し系サロンに勤めた人の平均勤続年数は3年であるからして、彼ら彼女らは3年で燃え尽きることになっちゃうわけです。

 単に店を変えるというだけなら、燃え尽き症候群ではありません。
 もう二度とこの業界で働くのは嫌だ!あるいは、働きたくともカラダが・・・もう無理・・・という人達のことです。

 最大の要因は「指を傷める」といことなのですが、ある種の洗礼みたいなものでして、慣れないと痛いわけだ。

 しかし、3年やって尚痛いというのは問題です。やり方が悪い・・・それに尽きる、と思っておりました。

 ところが、流派によっては、指が痛いまま、それに慣れさせるトコがあるということを知ってビックリ!

「えーっ!ずっと痛いままなの!」
「遊びじゃないんだよ、仕事なんだから!この仕事を続ける限り、痛いのは当たり前だろ!」

 これを複数のベテランから聞いて、いくら他人の流儀にケチつけないとはいえ、思い切りケチつけたくなりましたね。

 ずーっと痛いのはそりゃマズイわ・・・要するにカラダの一部が破壊されたままでいるということですからねぇ。

 朝起きたときは痛くて、指が強ばって押せないくらいなんですって。でも、一人施術すれば慣れて、痛みを感じなくなるらしい。

 昨日、今日入った新人じゃないんですよ。もう何年もやってるベテランがそんなこというわけ。そこの流儀はそれが当たり前で、誰も疑問を感じないらしい。
 指が痛くて辞める!っていったら、「根性のない奴だな、そんなんじゃ、どこに行っても通用せんぞ!」と捨て台詞を吐く幹部がいて、嫌な思いをするらしいね。

 そこのチェーン店の創業者がそういう指の使い方をしていたらしく、それに右倣え、てなもんで、未だにそのコダワリがあるそうな。バカか・・・

 「癒し系」というのは、ある意味そういう厳しさがありますね。
 これが治療系なら、クライアントの症状を解決してナンボの世界ですから、「ボクはこういう押し方にコダワリがあるんですよねぇ」なんて言って、さっぱり改善されなきゃ、それこそ「オマイ、ばかだな・・・」と言われてしまいます。
 極端な話、道具を使っても、何を使っても良いから結果を出す、というスガスガしさがありますでしょ。

 癒し系は結果といっても「いや~気持ちよかった!楽になったよ~」程度の話で良いわけですから、ヘンなところにコダワリが出てくるんですな。

 そういう指の使い方は・・・そりゃどんなに鍛えても指を傷めるわ・・・と思いました。
 それだったら、肘を使ったほうが良いし、道具を使ったほうが良いのですよ。

 ただ、肘も道具も指よりもはるかに難しいのですけどね。指が一番、フィードバック機能が働いて、微妙にポイントや力加減を修正できるからでして、肘は指よりも鈍いのは当然として、道具に至っては、感覚のない道具を通してのみ、つまりその道具を握っている腕の感覚のみで、修正加減を行うわけですから、難しいのは当然。

 力加減もポイントも考えず、闇雲に力揉みすればよいという施術なら(昔の足もみネ)、まあ良いのですが、カラダの施術はかなり難しい、とは言えるんです。

 逆にいうと、それが苦も無くできるようになれば、一人前ですよ。

 普通、癒し系で修行を積むわけで、道具を使った施術ができない環境にいますから、それを使うのに躊躇があるでしょう。

 でも上手に使えば、受け手は指とほとんど変わらない感覚で受け止めます。言わなきゃ分かんないくらいだな。

 ボクも最近は道具も使いますねぇ。厳しくカラダのカタイ人ばっかなのかもしれませんけど、頻度は多くなりました。クライアントさんは道具を使っているなんて、全然分かんないですよ。かりに分かったとしても文句を言わせないだけの、改善効果は与えていますからね。

 東急ハンズで昔買った桐製のツボ押しグッツとか、スッタフKがタイ旅行のお土産に買ってきてくれた不思議な形をしたこれまたツボ押しグッツとか・・・
変わったところでは、ご飯をよそうシャモジかな、竹製の。最近これは良く使います。

 主に肩甲骨を開くときに使うのですが、開きそうで開かない微妙なクライアントさんには威力を発揮します。笑っちゃうでしょ、シャモジですよ。

 そのうち、シャモジを使うのは整体師のステータスになったりして。
 「ねぇねぇ、あそこの先生、シャモジの使い手らしいわよ」
 「えっ!ウッソー、あの人、シャモジーなの?」
 「そうよ、シャモジーなんですって!」
 「スゴイ!今度受けに行ってみよ!」

 なわけないか・・・

深部脊柱筋(しんぶせきちゅうきん)

 脊柱筋と言えば、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)が有名ですが、痛みの治療で盲点になるのは、脊柱起立筋よりもむしろ深部脊柱筋の方です。

 深部脊柱筋という名称は総称で、具体的には回旋筋、多裂筋、半棘筋、肋骨挙筋などのの筋肉のことですが、いずれも触診で確認することはできないため、深部脊柱筋で一括します。また徒手療法ではそれでも不都合はありません。

 この深部脊柱筋にトリガーが出来ると、関連痛を他所には送らず、トリガーが出来たその場所が痛むという特徴があります。しかも、その痛み方は脊椎そのもの、つまり骨の痛みとして感じるのです。

 これはヘルニアなどで感じる深部痛と全く区別できないため、たまたまレントゲンにヘルニアが映し出されると、これだ!と鬼の首を取ったように原因を特定されます。そして、不要な手術まで受けるハメになった例は数知れず・・・
 なんのことはない、筋筋膜が痛みの根源であったという笑えない話。

 しかし、この深部脊柱筋の処理は思うほど簡単ではありません。
 うつ伏せで行う押圧であれば、この筋肉に届くものの、骨まで前方に押し出すことになてしまいます。これが腰椎ですと、骨の変位が増悪し、症状をかえって悪化させること度々。
 これについては増永師が再三に渡って、著作の中で警告しているにもかかわらず、未だ一部業者の間で普通に行われているのは、全く解せない話なのですが、手技法界全体にかかわらる信用の問題のため傍観できる限度を超える寸前でしょうね。

 故に押圧はよろしくない!という極端な理論が出てくるわけでして、確かにうつ伏せで腰を押すくらいでしたら、揺らしたほうが余程良い効果を得られます。少なくとも増悪させません。

 しかし私は、この深部脊柱筋のトリガーを沈静化するには押圧がもっとも効果的であると経験的に知っていたため、骨の変位を招くデメリットを最小限に食い止め、トリガーを消し去る方法論を模索してきたわけです。
 五年ほど前くらいから、横向きでの脊柱押圧は椎骨の変位を招かず、筋筋膜のトリガーのみに影響を与えることを実感して、それを実行しておりました。しかし、この方法はかなり難しい。不安定さを微塵も感じさせず、深部脊柱筋に届き、それでいて、腰椎の変位を招かない方法になるのですから当然です。絶妙のバランス感覚が必要かもしれません。

 しかし、ひとたび、このコツを覚えれば、原発性の深部脊柱筋由来の腰痛には圧倒的な強みを得ることになります。

 実は腰痛の問題は、深部脊柱筋の問題でなければ臀部筋か、腹部の問題か、あるいは腸腰筋の問題に過ぎません。本当にヘルニア等、徒手療法の手に負えないケースは全体の10%くらいでしかないのです。
(そっくり経絡に置き換えて説明することも可能なのですが、煩雑になるため、筋系で通します)

 このことに気づいて、技術を練磨してきた施術家はそれなりのリスペクトを受けて活躍しているのはご承知の通りですが、単なるほぐし整体との違いは知識のみであって、技術的な違いはわずかでしかありません。

 開業する人は当然、技術に自信があっての開業でしょうが、技術というのはそれを使うべきフィールドを理解するという知識によって生かされるわけで、ほぐすのが上手いというだけなら、それ自体の価値はかなり限定的であると申せましょう。施術というのはどこをどの程度どこまでやれば、こうなる!という仮説の下に行われるわけでして、その仮説力は知識力の別名であって、経験もまた経験則という知識に他なりません。

 話が逸れていきました。元に戻しましょう。

 深部脊柱筋由来の腰痛や背中の痛みは驚くほど多く、そしてその有効な対応技法は驚くほど少ないのが現状です。それは一重に深部脊柱筋への認識不足が招いている事態なのです。

 ひと度、深部脊柱筋という概念と、そこに問題の所在があるかもしれないという予測が立てられたなら、方法論はいくらでも思いつくはずですから、技術というのは、やはり思想から派生し、作られるものだということが再認識されます。

 手術が必要なほど骨が変位し、これ以上ないというくらいのヘルニアがレントゲンで確認できるのに、当の本人は痛くも痒くもなく、平気でテニスをやっている・・・他方、レントゲン等では全く異常がなく、これで痛みが出るのはおかしいという程の人が車椅子が必要なほどの腰痛持ちであったりする・・・この事実を前にして、腰痛とは骨の変位が原因ではなく、怒りという精神的な感情の現れであると、断定した整形外科医がいました。

 あまりにも有名な「腰痛は怒り」説です。医学的には相手にされていませんが、今も信奉者が数多い説ではあります。

 実際あり得ると思いますし、そのような症例に出くわしたこともありますが、深部脊柱筋トリガーの概念を導入したほうがはるかに当てはまる例が多く、説明がつきやすいものです。

 しかし西洋医学の世界では、この説は「怒り」説と同じくらい受け入れ難いものですから、認知されることはまずないでしょう。
 しばし、整体師の独壇場になるわけですが、これを喜んでいいものなのか、悲しむべきことなのか・・・複雑な心境ではありますね。

 激しいスポーツをかなり熱心にされていた方などがこの深部脊柱筋由来の痛みに苛まれるケースが多いものです。
 一つ一つの筋肉が小さいため、急激な身体の使い方(捻りの動作など)で傷めやすいからなのですが、転倒や事故の後遺症でも痛めます。

 スキーの元選手が原因不明の背骨痛(首も背中も腰も)に悩んでおりました。どこに行っても良くならないと嘆いていたのですが、この方、典型的な深部脊柱筋由来の症状でしたので、それに気がつかない施術院では治らないだろうなぁ、と思ったものです。
スキーで激しく転倒したことが何度もあるとのことで、深部脊柱筋に障害が出てもおかしくありません。(スキーでの転倒は後遺症が残りやすい)

 痛みのためにQOLが著しく損なわれるわけですから、こういう人々こそ楽にしてあげるのが使命です。

 いずれにせよ、肉体的苦痛に悩んでいる人を一人でも多く救うためにこの業界に入ったわけですから、深部脊柱筋トリガーの概念と処理技法を自家籠薬のものとするに如くはないでしょう。

モートン足

 「矛盾」の中国式発音はモートンだったような。

 そしてモートン式リフレっていうのもどっかにありましたっけ?

 モートンといえばモートン病で有名です(足先、趾先の痺れ)。Dr モートンという足病医の草分け的存在にちなんだ病名ですが、その病とは関係なくモートン足というのがあります。
 これもDr モートンにちなんで名付けられているのですが、足の専門家であるリフレクソロジーの専門家でさえ、あまり耳にしたことがないでしょうね。

 リフレの世界ではDr フィッツジェラルドの方がはるかに有名ですもんね。足病とリフレでは同じ足を扱うにしてもジャンルが全然違うわけでして、これはやむを得ない。

 さてさて、モートン足とはどんな足ぞや?というと、第ニ中足骨の方が第一中足骨より長いという足骨の構造的ヘンテコリンさを指していう言葉です。

 足指の長さじゃありませんよ。中足骨です、中足骨。
 だから見かけ上、母趾が第二趾よりも長くとも中足骨は第二趾側、つまり、第二中足骨の方が長いということもありえますし。逆に、明らかに第二趾の方が長いのに、中足骨は母趾側が長く正常ということもあります。

 したがって、趾の長さを比べてもモートン足かどうかはわかりません!

 分かる方法は、まず足でゲンコツを作ります。そうすると、MP関節が浮き出ますので、この関節の位置を見るんですね。

 母趾側(第一MP関節)が低い位置にあれば、モートン足の疑いが濃厚です。しかし、足の構造は複雑ですので、これだけでは決め手にならない。

 そこで、母趾内側や足底上部に慢性的なタコ(角質が厚くなっている)があるかどうかをみます。さらに、第二趾と第三趾の水かきがえらく発達しているかどうかを確認して、いずれも該当するならば、モートン足と断定して間違いないでしょう。

 もし、自分がモートン足なら皆に自慢しましょう!
 「へへっ、モートン足だもんね!どうだ!」

 冗談です。実際は自慢できません。
 なぜなら、本来、体重の五分の四が母趾側にかかるところ、モートン足の人は第二中足骨側にも体重がかかってくるからです。
 ということは足のアーチが潰れてきますし、歩行の仕方がおかしくなりますね。
 (だから、不自然なタコが出来てくるんですけど)

 足底内在筋も歪みまくりで、アスリートなら疲労骨折は避けられないところ。
 その前に足の構造上、充分なパフォーマンスを得られませんので、才能があっても一流にはなれず、どこかで競技を断念しているでしょう。

 一般の人も結構深刻でして、足から派生するところの不都合にいずれ悩まされます。

 膝痛、股関節痛、腰痛・・・・・

 でも生れつきの構造上の欠陥ですから、誰のせいでもありません。こういう人は足のケアーを他人さま以上に行っていかねばならないでしょう。とにかくカラダのトラブルが多くなりますから。足から上半身に行くことだって珍しいことじゃありません。

 カラダのあっちこっち、フシブシが痛いって訴える人はかなり高い確率でモートンな足の持ち主でございまして、足がカラダに与える影響っていうのは、やっぱり大きいんだな、とシミジミ実感します。

 因みに私もモートン足でして、半魚人のような水かきを持っています。
(そのクセ、カナヅチなんですから、なんという皮肉!)

 モートン足は全人口の25%、つまり4人に1人の割合で存在します。
 これは全人口に対する割合ですから、実際、身体のトラブルを抱えて来院する人達をピックアップして統計をとったら、25%以上の確率でしょう。場合によってが半分以上かもしれません。

 足の施術家(リフレ者含み)は素足を診ることができますので、注意深く診て頂きたいと思います。典型的なモートン足と典型的な症状を目の当たりにし、ちょっとした感動すら覚えるかもしれませんよ。

顔面麻痺の後遺症

 北海道は多分、顔面麻痺の発症率が全国平均より高いと思います。

 理由は冬、零下ん十度という酷寒の空気に顔を晒さねばならないという環境と、夏は夏で山に入ると、ダニに食われる確率が高いせいでしょう。
(ある種のダニは顔面麻痺を発症させるウイルスを保有している)

 選挙で風雨に晒される政治家も発症する人が多くて、有名なのは故田中角栄氏です。

 多少、後遺症は残ったようでしたが、顔面崩壊に至りませんでした。当時としては最先端の星状神経節ブロック治療を一日数回、一ヶ月あまり休みなく受療したせいだと言われています。
(それで「星状神経節ブロック療法」が一躍有名になりましたが、一般には知られていません)

 さて、私の友人も罹り、尚、その紹介の人も後遺症に悩んでいるとのことだったので、施術する機会がありました。

 一時は完全に左側に麻痺がかかり、顔面崩壊に陥ったらしい。
 病院での適切な処置と休息、そして鍼治療などで、なんとか元に近い形に戻ったものの、疲れてくると、左側の顔面の感覚が鈍くなり、形が崩れてくるとのこと。

 見ると、明らかに左右の違いが許容を超えていました。

 こういう人の場合、マッサージサロンへ行けば、顔面を中心としたマッサージをしてくれて、それなりに気持ちよくなるには違いありません。別に悪くはないのですが、改善効果は今一歩なので、手技がさほど重んじられていない理由でもありますね。

 そこで首から肩にかけてコリを診てみると、案の定、酷いコリの状態でした。
 多少の力じゃ効かん!くらいのコリようで、力自慢の業者なら、コリと格闘することになるるでしょう。モチロン、クライアントのコリと戦争をはじめても後々問題が出るのでそういうほぐし方はしません。しかし、コリをほぐすことから始めねば、どうしようもない症例であることも確かなので、時間をかけ、ほぐしていきました。

 特にこの方の場合、要チェックは、首の筋肉名でいうと胸鎖乳突筋、斜角筋。
 顔面筋だと咬筋、側頭筋、翼突筋群などです。

 肩回りは五十肩の既往歴があるとのことだったので、施術一式の中には含まれない棘下筋、肩甲下筋も重点としました。

 いずれにしても、どこにいてもやってもらったことがない部位なので、多少驚いていた様子。特に斜角筋はドンピシャだったらしく「こりゃ治るかも知れねぇ!にいさん、按摩ウメェな!」と生意気なことを言っておりました。
(気休めでやってんじゃないぞ、治すためにやってんだ!それに按摩じゃないし)といつになく不機嫌な私でしたが、本人が治りそうだと感じれば、実際、治癒に向かうことは確かなので、無礼な口の聞き方は許してやることにしました。
(冗談ですよ、別に腹は立ちません)

 術後、「10人くらいの人間が肩から降りていったようなくらい軽い!」と述べていましたが、(なるほどちょうど10人くらいの人間を食わせている小企業のオヤジなので、10人分が肩に乗っかっていたんだろうな・・・)と妙に納得した次第。

 明らかに顔の形も変り、「ヨシ!決めた!通うぞ!にいさん、通うからな!」と高らかに通院宣言をした後、定休日も営業時間も聞かず、トヨタークラウンにエンジンをかけ、颯爽と帰っていく姿に古き良き時代の典型的な中小企業のオヤジを見たのでございました。

神経ブロック

 ある方から「肢端紅痛症」という難病の方の施術について意見を求められました。

 この病気の名前は初めてきくものでしたが、足裏に熱を持ち、酷い場合はその熱が全身に回ってしまう、という症状のクライアントさんは診たことがあります。
 あ~なるほど、あの患者さんは「肢端紅痛症」という病気だったのかぁ~。

 ずいぶんの昔のことで、本人が知らない以上、こちらも調べる方法もなく、変わった症状だなぁ、という強い印象を持っていたので覚えていたわけです。
 昔のことですから、知識もなく、施術技術もしっかりしたのものじゃありませんでした。

 数回の施術の後、来院されなくなりましたから、その後の経過を知ることはありませんでした。多分、さほど変化はなかったのでしょう。

 今なら、既往歴や事故歴などを充分聞き出し、足の施術はメインにしながらも全身的なアプローチで臨むでしょうね。

 現在の知識や経験を駆使して、頭蓋的、経絡的に想定できることを述べさせて頂いたわけですが、原因は極めて個別的でもあり、複合的でもありますから、施術者が施術していく中で感じ取っていくしかないでしょう。結局はそれに尽きてしまうわけです。

 さて、後日、返信メールを再読しておりましたら、腰の治療で神経ブロックをやったのも原因の一つかも知れないと書かれておりました。
 最初、読んだときは気にも留めなかったのですが、そのときは(ん?腰の神経ブロック?
そういえばボクが診たクライアントさんも腰の治療で当時は最先端だった神経ブロック治療をしてな・・・)

 ずいぶん時間が経ってから思い出したわけですよ。
 神経ブロックと言っても幾種類かあって、痛みを止める硬膜外ブロック、下肢の血流量の増大を図る腰部交感神経節ブロック・・・・

 いずれも強力な治療法です。強力ではあっても手術よりは生体侵襲度は少なく、その恩恵を蒙った患者さんは数万のオーダーにはなるでしょう。
 特に腰部の交感神経節ブロックの威力は凄まじく、糖尿病による下肢末端壊死でさえ改善されるほど血流確保効果があると言います。

 治療というのは常にリスクがあります。逆にいえばリスクのない治療なんてのはありません。もし、この神経ブロックの作用が人によっては効き過ぎ、あるいはおかしな神経に作用して、身体一部の異常興奮をももたらしたとしたらどうでしょう?
 この難病の原因として理屈は合うわけです。

 もちろん医学的に検証することは出来ませんが、これも要因の一つである事は疑い得ないと思います。

 原因の一つが分かったからといって、ただちに手技で治せるというものでないことは当然です。ただ施術上の指標ができますからね。そうすると工夫も生まれてきます。つまり新しい技法の開発へとつながっていくわけです。

 個人的に振り返ってみると、新技法の開発はなんの脈絡もない純粋な感性で思いつく場合と理屈で考え抜いて到達する場合の二つがあって、有用性では変わりません。

 それはともかくとして、神経ブロックは強力ですが、強力であるが故に思わぬ副効果も生んでしまうこともあるということは認識しておくべきでしょう。

 費用対効果で考えると割りに合うものではないかもしれません。

 神経ブロックに触れたついでに・・・

 ある人-この人はR整体の使い手なのですが、五十肩の痛みを見かねてその整体術を施してくれました。

 R整体とは揉むな!押すな!延ばすな!の三禁療法の一つで、最近みかけることが多くなった整体術です。

 三禁縛りの中で何をやるの?

 簡単です。揺らすわけですよ。

 揺らし整体自体の歴史は古く、15~16年前にはすでに札幌ではサロンを構えていた施術院がありました。東京では相当古くからあったんじゃないでしょうか。

 様々に分派していて、色んな名前で出ていますから、どこが元祖なのかさっぱり分かりませんけど・・・・・(足揉みと同じだ)

 本格的な揺らし整体をやってもらう機会などありませんでしたから、内心(おお!これは良い機会だなぁ、やってやって!)てなノリでやってもらいました。

 されたことのない手技をやってもらうのは最近では数少ないドキドキ感とトキメキ感があって、実に新鮮で良いのです(やっぱ私は手技が好きなんですね)

 (ほうほう、なるほど~そういう構えから入るかねぇ、はぁ、そうか、そういう体勢にしてそう揺らすのか~中々心地良い・・・揺れる揺れる、巡る巡る因果の糸車・・・)
八犬伝風な施術でんな・・・(どんな施術だ!)

 施術される中、フト思い当たりましたね。

 これは星状神経節へアプローチしているなぁ、と。
 星状神経節は第七頸椎の横突起の前側にあって、後頸部からは骨が邪魔して触れることができません。前側からは強力な頸部筋群のため、これまた触れることができません。         
 したがってここに影響を与えるのはちょっとした工夫が要るんですね。
 腕神経叢からの間接的響きを使うとか、R整体のように揺らすとか・・・・

 リフレパシー整体では横向きと仰向けを使って、まず見たこともないような独特のフォームでアプローチするのですが、最近ではバイブレーション機器を併用することも多くなりました。
 フルフォード博士も星状神経節へのアプローチはほぼ全員に行っていたようです。その際、バイブレーション機器(パーカッションハンマー)を用いていたのは有名過ぎる話で、ボクもそれに倣ったわけです。

 さて、話を戻して。しばらく身を任せて心地よく揺らされておりました。
 するとやっぱ下部頸椎近辺が緩んでくるのが分かりますね。
 ここのコリは中々取りづらいのですが、マッサージや指圧の力づくで取るような不快感がなく、揉むな!押すな!という主張も分かるような気がしました。

 ここのコリが取れてくると、俄然、星状神経節の過緊張状態が回復して、副交感にスイッチされます。すると血流が回復していくのが分かりますね。
 コリを取ると物理的に回復するのは当然なのですが、交感神経節の異常興奮を抑えた結果として、つまり自律神経的な機序によって血流が回復したときというのはもち方が全然違うのです。素人の方は結果として分かるだけですが、ボクらプロはどういう種類のほぐれ方であるか、施術の最中から分かってきます。

 それはともかく。肩から上肢の血流が完全に確保されれば、相当に良くなるはずなのですが、ボクの場合は全然ダメ。
 なぜなら、もうその時にはすでにある筋肉の半分以上が断裂していて、それで仕事しているということ自体がミラクルな状態だったわけで、こういう状態ではどういう方法をとっても無理だったのです。軽いものだったらかなりの改善が見込めたでしょうに、惜しいことをしました。

 自律神経系、特に交感神経節へアプローチして、従来では考えられないような改善が非常に多くの症例で起こるということが分かってきております。

 西洋医学では直接的にその神経節に薬液注射を打ち、働きを鈍らせるわけです。ですからその手法をブロックと呼びます。つまり「神経ブロック」すると。

 たいして自然療法では、過緊張状態から脱出させます。本体、周辺組織を緩めることによって。したがって、逆にブロックを外すとか歪みを正すとかいう表現になるわけ。
 結果としては同じなのですが、手法の違いが表現の違いを生むわけですね。

 私の方法は3禁療法のような原理主義じゃありませんが、彼らが主張する以上の成果は前から挙げていましたし、これからも挙げ続けることでしょう。
(筋肉が半分千切れている人には無理だけどね)

龍乃湯温泉(たつのゆおんせん)

 いつだったかに書いた記憶があるんですが、内容を思い出せません。かといって調べる元気もなし。

 書いた本人が忘れているくらいですから、古くからの読者だってきっと記憶にないと勝手に思って書き始めているわけです。

 さて、この温泉、専門的には「単純鉄冷鉱泉」というカテゴリーにはいる温泉です。

 名前がそのまんまの性格を表しています。

 鉄分が含まれた単味の成分で、もともとの源泉は冷たいものだ、と。
 (まあ、なんて分かりやすいんでしょ!)

 冷たいが故に沸かしている温泉で、かつ成分が鉄しかないもんねぇ!というとなんか安っぽい温泉に聞こえますけれども、これが中々侮れないない・・・・

 ボクの自宅の裏手にあって、ずいぶん昔に入ったわけ。湯あたりしましたも。後にも先にも温泉で湯あたりした経験はコレッキリですから。

 単味であるが故に強いお湯になるんですね。色なんて見事なもんですよ。赤茶色(錆色)で、こんな温泉見たことねぇや、と思いました。これも心理的効果は抜群でしょうなぁ。

 地元ではそれなりに有名ですから、まさに日帰り入浴で湯治客が多く来ています。

 その効能をネットで見てみると、五十肩・・・・
 おお!五十肩!五十肩やんけ!
 他にも効能がいっぱいあるのですが、もう五十肩しか目に入らなくなりました。

 昔は五十肩なんて別世界の住人の言葉で、その意味さえよく分かんなかったなぁ、う~ん、やっぱ歳は取るもんだ・・・と感慨に浸りましたね。

 あの強力なお湯が、ヒタヒタとボクの肩を癒し、治していく様を想像すると、居ても立ってもいられず、速攻で温泉へ直行!

 徒歩5分の長旅も、入浴料五百円の出費もなんのその!
 思い立った10分後には温泉に浸かっている亜美之介でした。

 いや驚きましたなぁ。入ってきっかり10秒後に痛みがなくなりました。
 これはラグーンでデッドシーバス(死海風呂)に入って以来の経験です。
 不思議、不思議・・・・あらら肩が動く・・・可動域が明らかに広がりました。

 しかし、ここで調子に乗って長風呂していたら、また湯あたりしかねません。5分くらい入って(またそれくらいしか入れません。中温風呂は熱くはないのですが、強い湯としか言いようがなく長風呂できないんです)涼むわけです。
 涼んでいるうちにまた肩が痛み出します。そしてまた風呂へ・・・するとまた痛みが消える・・・

 そうか・・・なるほど・・・湯治とはこうした忍耐強さというか、粘り強さが必要な療法なんだなぁ、と再認識しましたね。薬でチャッチャじゃないわけだ。ノンビリとゆっくり期間をかけているうちに本人の抱える根本的な自律神経系の乱れなども治っていくのでしょう。湯治とはこういうもんなんだなぁ~と自分の身体で理解するのはまた格別に勉強になります。

 3時間くらいいましたかね。浸かっては涼み、浸かっては涼み・・・

 さすがにその晩は楽でしたなぁ。温泉効果で爆睡・・・・すっかり睡眠不足に陥っておりましたが、ここで取り戻したような感じでした。

 こりゃ中々良いですよ。

 ボクのクライアントは皆、この温泉に浸からせた後、施術しようかな・・・近くだし。

 施術の効果も温泉効果も倍加するでしょうなぁ。

以上の記事を書いてまもなく、私の五十肩はある事情で悪化し続け、遂に温泉効果さえ見込めない状況に陥りました。
まあ、それそれで、今ではすっかり解決したのですからそのことには触れません。

ともかく、ここの温泉は不思議ですよ。
あれから内地から幾人も私の関係人らがやってきまして、ここに案内しましたので、その方々は分かるでしょう。

高温風呂は普通の人では絶対入れません。そこで中温風呂に入ることになるのですが、これが43度くらいです。まあ、中温とはいえ熱い風呂のカテゴリーにはなるでしょうね。

しかし、体感温度はどう考えてもそれよりも熱いのです。

ピリピリした熱さ・・・痛いんですね。
辛子温泉か!みたいな感じ。

ですから、いきなりザブンとはいるのではなく、少しづつ慣らして入ります。

そのうち慣れてきてすっかり入ることができるのですが、お勧めの入り方は半身浴で長めに入るということ。
すると他の温泉では味わうことの出来ない芯からの暖まりを感じます。

風呂から上がってしばらくしても、仙骨や背骨からポッポッポと暖かさを放散しています。
これがこの温泉の特徴です。根強いファンがいるのが分かりますね。

是非、体感してもらいたいな。

帯状疱疹(たいじょうほうしん)

 帯状疱疹に罹った方の5年内ガン罹患率は通常の5倍~17倍という統計があります。

 このことの意味しているところは、ズバリ免疫力の低下でしょう。

 もともと帯状疱疹は水疱瘡に罹ったことがある人なら誰でも持っているありふれたウイルスが原因です。

 これが潜んでいて、その人の免疫力が低下したのをいいことに暴れだすわけですね。

 つまり統計は帯状疱疹とガンの直接的因果関係を表すものじゃなくて、両者の原因に共通している免疫力の低下を表現しているわけですよ。

 ですから、もし罹ったなら、まずもってなぜ自分がここまでの免疫力の低下を招いたのか・・・ちょっと振り返る必要があるでしょうね。

 過度のストレス、過労、暴飲暴食・・etc

 ちょっとヤバいかも・・・と反省するように出来ているわけですな、大概の病気は・・・

 反省するだけなら猿でもできるって古いCMもありましたけど、反省したのち、どのような行動をするかがその人の後の人生を決めることになるわけですよ。

 未来のことは誰も検証できませんが、幸い人には想像力というものが備わっています・・・・・
 血圧が高くて、血糖値が高くて、心臓で倒れたなら、このままヘビースモーカーを続け、深夜のドカ食いを続けてたら果たしてどうなるものか・・・・いくらパッパラパーな人間でも容易に想像が付くはず。
(ホントならその前に想像力が働かんきゃいかんのですが・・・)

 想像力が備わっている反面、自分だけはちょっとスペシャルじゃないかなぁ~という根拠のない楽観主義もまた人間の専売特許かもしれません。

 話がソレてしまいまいました。
 免疫力をアップするにはまず徹底的に交感緊張を解いていくしかないわけです。

 交感神経節を麻痺させる星状神経節ブロックという治療法が確立されているところをみても、これは必須中の必須でございまして、自律神経は自分ではコントロールできない以上、他人の手を借りるしかないのですよ。
 他人の手を借りるのがどうしても嫌だったら、インドに行って30年ばかりヨガの修行をしたらよろしいのです(ならば自分で自律神経をコントロールできるかもしんない)。

 免疫力がベラボーに下がっているシグナルが出ているわけですから、他人の手を借りたからといって罰など当たりますまい。

 そういう意味ではたまたま帯状疱疹はかなり一般的でもあり、統計もよく整っているわけですから、例として引き合いに出しました。

 あと膀胱炎なども免疫力低下の強力なシグナルです。

 これらの予兆があったり、病後は是非ともリフレパシーグループの施術院へお越しくださいませ。

特に痛みが残ってしまって長引いている方。

適応症であることが多いのです。

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