施術による手指の痛み
バーンアウト・シンドロームとはそのまんま、燃え尽き症候群のことですが、街のマッサージハウス等、手技による癒し系サロンに勤めた人の平均勤続年数は3年であるからして、彼ら彼女らは3年で燃え尽きることになっちゃうわけです。
単に店を変えるというだけなら、燃え尽き症候群ではありません。
もう二度とこの業界で働くのは嫌だ!あるいは、働きたくともカラダが・・・もう無理・・・という人達のことです。
最大の要因は「指を傷める」といことなのですが、ある種の洗礼みたいなものでして、慣れないと痛いわけだ。
しかし、3年やって尚痛いというのは問題です。やり方が悪い・・・それに尽きる、と思っておりました。
ところが、流派によっては、指が痛いまま、それに慣れさせるトコがあるということを知ってビックリ!
「えーっ!ずっと痛いままなの!」
「遊びじゃないんだよ、仕事なんだから!この仕事を続ける限り、痛いのは当たり前だろ!」
これを複数のベテランから聞いて、いくら他人の流儀にケチつけないとはいえ、思い切りケチつけたくなりましたね。
ずーっと痛いのはそりゃマズイわ・・・要するにカラダの一部が破壊されたままでいるということですからねぇ。
朝起きたときは痛くて、指が強ばって押せないくらいなんですって。でも、一人施術すれば慣れて、痛みを感じなくなるらしい。
昨日、今日入った新人じゃないんですよ。もう何年もやってるベテランがそんなこというわけ。そこの流儀はそれが当たり前で、誰も疑問を感じないらしい。
指が痛くて辞める!っていったら、「根性のない奴だな、そんなんじゃ、どこに行っても通用せんぞ!」と捨て台詞を吐く幹部がいて、嫌な思いをするらしいね。
そこのチェーン店の創業者がそういう指の使い方をしていたらしく、それに右倣え、てなもんで、未だにそのコダワリがあるそうな。バカか・・・
「癒し系」というのは、ある意味そういう厳しさがありますね。
これが治療系なら、クライアントの症状を解決してナンボの世界ですから、「ボクはこういう押し方にコダワリがあるんですよねぇ」なんて言って、さっぱり改善されなきゃ、それこそ「オマイ、ばかだな・・・」と言われてしまいます。
極端な話、道具を使っても、何を使っても良いから結果を出す、というスガスガしさがありますでしょ。
癒し系は結果といっても「いや~気持ちよかった!楽になったよ~」程度の話で良いわけですから、ヘンなところにコダワリが出てくるんですな。
そういう指の使い方は・・・そりゃどんなに鍛えても指を傷めるわ・・・と思いました。
それだったら、肘を使ったほうが良いし、道具を使ったほうが良いのですよ。
ただ、肘も道具も指よりもはるかに難しいのですけどね。指が一番、フィードバック機能が働いて、微妙にポイントや力加減を修正できるからでして、肘は指よりも鈍いのは当然として、道具に至っては、感覚のない道具を通してのみ、つまりその道具を握っている腕の感覚のみで、修正加減を行うわけですから、難しいのは当然。
力加減もポイントも考えず、闇雲に力揉みすればよいという施術なら(昔の足もみネ)、まあ良いのですが、カラダの施術はかなり難しい、とは言えるんです。
逆にいうと、それが苦も無くできるようになれば、一人前ですよ。
普通、癒し系で修行を積むわけで、道具を使った施術ができない環境にいますから、それを使うのに躊躇があるでしょう。
でも上手に使えば、受け手は指とほとんど変わらない感覚で受け止めます。言わなきゃ分かんないくらいだな。
ボクも最近は道具も使いますねぇ。厳しくカラダのカタイ人ばっかなのかもしれませんけど、頻度は多くなりました。クライアントさんは道具を使っているなんて、全然分かんないですよ。かりに分かったとしても文句を言わせないだけの、改善効果は与えていますからね。
東急ハンズで昔買った桐製のツボ押しグッツとか、スッタフKがタイ旅行のお土産に買ってきてくれた不思議な形をしたこれまたツボ押しグッツとか・・・
変わったところでは、ご飯をよそうシャモジかな、竹製の。最近これは良く使います。
主に肩甲骨を開くときに使うのですが、開きそうで開かない微妙なクライアントさんには威力を発揮します。笑っちゃうでしょ、シャモジですよ。
そのうち、シャモジを使うのは整体師のステータスになったりして。
「ねぇねぇ、あそこの先生、シャモジの使い手らしいわよ」
「えっ!ウッソー、あの人、シャモジーなの?」
「そうよ、シャモジーなんですって!」
「スゴイ!今度受けに行ってみよ!」
なわけないか・・・