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三関節原理とトリガーポイント

 ここしばらくのテーマであるトリガーポイントですが、これをボクはトリガー理論と呼び、決してトリガー原理とは呼ばないのです。

 「理論」よりも「原理」のほうが格が上なのは当然。しかし、物理的に証明されているトリガーポイントに「理論」という名を与え、いまだ証明されていない全息胚や経絡に「原理」の称号を与えているのは、腑に落ちないことでしょうね。

 特にトリガーポイントをメインに据えている臨床家には納得できないかもしれません。
『なんだと!得体の知れない経絡や全息胚よりも格下だというのか!!』という声が聞こえてきそうです。

 そこで、リフレパシー整体の大きな比重を占めている三関節原理を例に取り、ちょっとした説明を加えて置きたいと思います。

 ご存知のように三関節原理とは、足関節、膝関節、股関節の三関節が互いに補正しあう関係で、どれかの関節に歪みが出た場合にそれを他の関節で代償し補正していく原理のこと。

 リフレパシー整体の中では大きなウエイトを占めている原理の一つです。
 ほとんどの腰痛や下肢痛はこの原理によって説明できます。
 また、実際そうなんです。

 さて、原理的に正しくても、実務上、それをどう処理するか?という方法論や技術論の問題が出てまいります。

 三関節原理によって腰痛が説明されました、じゃ、そのあとどうすれば良いのですか?と。

 ベルヌーイの法則によって飛行機が飛ぶ原理が分かりました、じゃ、あとどうやって飛行機を作るのですか?と似たようなことかもしれませんね。

 飛行機の場合は素材の耐久力や駆動方式の選択やら、またその周辺の膨大な工学的知識の蓄積によってしか、信頼性のある飛行機は生まれないわけです。

 しかし、ベルヌーイの法則が確立してなければ、そもそも飛行機を作る動機が生まれません。事故やミスでもないかぎり、科学的に絶対に飛行機は落ちない!という原理に支えられて初めて飛行機という存在が成り立つわけ。
 しかし、何度も言いますが、その法則だけで飛行機は作れない。

 翻って、三関節原理。

 この原理によって、三関節や腰が障害されうる・・・だから、腰そのものを押したり引っ張ったりするよりも、足首や膝や、股関節(殿部含む)の調整を行うほうがより本質的な治療になり得るし、また早く改善することもある・・・

 じゃ、具体的にどこをやる?という今度は技術論、エンジニアリングの問題に入ってくるわけです。

 そのときにトリガーポイント理論が非常に役に立つ。水先案内人みたなもんかな。

 腰痛の原因ナンバーワンは中殿筋の緊張、短縮。つまりトリガー形成と活性化によるものです。実はこの中殿筋はまさに股関節筋でございます。また小殿筋、梨状筋も堂々たる股関節筋ですよ。
 さらに腹部からアプローチする腸腰筋もまた股関節筋です。

 股関節関連の筋筋膜が直接的な腰痛の原因になることはトリガーポイント臨床家には常識でしょう。

 しかしリフレパシー整体では、それはエンジニアリングの問題であって、トリガーがありました、処理しました、良くなりました、良かったね!の話にはならないのです。

 そもそも、何故、臀部筋系や腸腰筋にトリガーポイントが発生しやすいのか、もとを辿ればどこからくるの?という問題にまで言及していくわけです。

 これで何か得があるんですか?トリガーポイントだけじゃダメなんですか?
 ええ、ダメなんです。

 これは臨床をやっていけば分かります。

 よって立つところの原理にはなり得ないんだな。
 エンジニア的な手法論としては非常に優れているんですけどね。

 まあ、我々は科学者じゃなくて、どちらかというとエンジニアですから、優れた手法が常に求められます。だから、原理などどうでもよく、見よう見真似でやって結果が出て結果オーライ!ということも多々あるのですが、原理をしっかり血肉にしていないと、難敵に出遭ったとき、自らの工夫によって、乗り切れないシーンが出てきます。

 症状というのは常に教科書のように出るわけじゃありませんからね。

 結局、何が言いたいかというと、トリガーポイントは技術論として、或いは施術上の具体的なポイントを決める『理論』として扱うのであって、なぜそこにトリガーポイントが出来たかという歪み方の問題、つまり筋骨格系の連鎖的原理とは別扱いなので、それを理論と呼ぶわけです。

腰と呼吸

 呼吸の重要性は言わずもがなでしょう。

 整体臨床的にも呼吸が正しく行われているかどうかは、非常に重要な問題となります。

 呼吸を助けるのは当然ながら呼吸筋とか呼吸補助筋とか言われる筋群ですから、それらの筋群が凝っていたり歪んでいたりすれば、その人の抱える問題の所在を掴む手がかりとなるわけです。

 腰方形筋(ようほうけいきん)という横腰部の筋肉があります。抗重力筋(姿勢筋)の一つで、しばしば腰痛の元凶になる筋肉です。

 この筋肉、腰という漢字が使われておりますが、実は腰筋ではなく、腹筋の深層筋の一つ。あまりにも深部にあるため、腹部側からはもはや届くことはありません。腰の横からアプローチするしかないわけです。

 さて、この腰という漢字に惑わされると、この筋が呼吸補助筋であることを見落としてしまいますね。

 そう、実は腹筋である証明でもあるのですが、その一部は横隔膜に付着し、呼吸の維持に一役買っているのです。(これは普通のテキストには省略されていますけど)

 もしこれが凝り、短縮してしまいますと、横隔膜での呼吸運動が阻害されて、上手く呼吸が出来なくなります。また逆に呼吸器系疾患の持病を持っていると、この筋に影響を与え、負担をかけることにもなりかねません。

 そこで、臨床的には、喘息等の呼吸器疾患を持っていて、なおかつ腰痛もしくは坐骨神経痛様の痛みを抱えている人の疑うべき筋のトップリストに入ってくるのです。

 この筋が歪むと殿部筋のうち小殿筋や中殿筋に影響をあたえますから、益々、腰痛や坐骨神経痛やらの症状が深くなっていきます。

 で、このことは逆にも言えることで、先に臀部筋のダメージがあっても腰方形筋に影響を与え、呼吸器に影響を与えます。

 臀部筋に先にダメージが来る場合というのは、股関節異常からもきますし、臀部への皮下注射の失敗からもきます。
 そして何よりもモートン足からダメージされてしまいます。

  少しく経験のある術者なら、腰を揉むと呼吸が楽になるという現象を知っているかと思いますが、それは以上のような理由があるからに他なりません。

 この筋をダイレクトに攻めますと、かなり痛いので普通は起立筋を通して、痛気持ち良い程度から始めねばなりません。

そこから解して徐々に腰方形筋を緩めていけば不快感なく、腰方形筋の機能は回復されていくでしょう。

 フルフォード博士がいうように、正しい呼吸は長命の秘訣であることは間違いありませんから、定期的にこの筋のケアーをしていけば無用かつ不必要な病気は防げるはずです。

 誰もが見落としがちな、呼吸補助筋としての腰方形筋。
 隠れた機能に目を向け、臨床に生かすことが肝要かと思う次第です。

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