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虚実補瀉とトリガーポイント

黄帝内経-調経論

「実者外堅充満 不可按 按之則痛」
「虚者ろう(耳を三つ書く)辟気不足 之按気足以温 則快然而不痛」

虚実補瀉について論じた最古の記述です。
虚実補瀉の概念そのものと言っていいかも知れません。

意訳しますと、
「実」は外側が堅く、中身もパンパンに張っている。これを按じてはいけない。もしこれを按ずればかえって痛みが増すぞ。

「虚」はろうへき(耳を三つ書いて“ろう”と読ませる)-シワがよって力のない状態で、気が不足している。之を按ずれば気が満ち足りて来て、温まってくる。するとスカッと痛みがなくなるものだ

増永師はこれを読んで悩んでしまった、と書いておられる。
小生はその書いたものを読んで悩んでしまいました。

中国医学の根底には陰陽思想があります。

陰陽を経絡に当てはめたとき、虚実と表現するわけで、「実」は目立ち分かりやすい「陽」の性質なわけです。

「虚」は陰にかくれて見つけづらく、分かりづらい文字通り「陰」の性質なわけです。

「実」は誰にでも分かる、ということは本人にも分かることですから、症状を持つ部位(痛む部位)であって、確かにその部分を深く按ずれば、かえって痛みが増すのは施術者なら経験があるはずです。

炎症のある部位が禁忌となる所以でもありますね。

対して「虚」は本人も自覚できない真の原因となっている部位のこと。
「犯罪の陰に女あり」という比喩を増永師は用いていましたが、まさに、まさか!の黒幕みたいな存在で、だれもそこに原因があるとは思わない部位のことです。

つまり、我々がごく普通に言っている「症状のある部位と原因の部位は必ずしも一致するとは限らないよ」という言い方の原点になっている考え方なんですね。

虚実補瀉の特に虚が分からない・・「虚のコリ」が分からない・・というのは「実」は外堅充満、「虚」はろう辟(シワがよって気不足)という語句に惑わされているからに他なりません。
陰陽論の基本に立ち返ったとき、虚実の真の意味が取れるのであって、字面を追っても理解できないでしょう。

簡単にいうと症状の原因となっている部位なのですから、少なくともコリや痛みの原因となっているトリガーポイントは「虚」であり、それが原因で痛みを得てしまっている部位は「実」なのです。これでは実をいくら按じても、効果がないばかりか、かえって痛みが増すのは道理なわけでして、古典の記述は正しいと分かるのです。

「外堅充満」や「ろう辟」はシンボリックな表現方法であって、古典はよくこのようなシンボリックな表現方法を採ります。思想背景にまで踏み込んでいかないとホントの意味は分かりません。

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