胸骨反射と心(しん)
この場合の心(しん)というのは東洋医学における”心”であって、心臓のことも含むけれども、文字通り”こころ”のことをいいます。
腹証においては水月(みぞおち辺り)が反応点なることはご存知のとおり。
水月の上には胸骨があって、ここは感情の座とも呼ばれているところです。
精神的な緊張や不安、恐れなどがその人に深く根ざしている場合にこの胸骨が緊張し拘束されるわけです。
胸骨にはある種の微細な振動があって、その微細運動がストップしてしまうことを“拘束”と呼ぶわけですが、ほぼ例外なく、心に問題を抱えている人やかつて強い感情的なショックを受けた人は“拘束”されています。
ばかりか、我が三水会の長老がいうには、旦那が浮気している奥さんに乳がんが多いと述べていましたが、胸骨から乳腺へのリンパ管が多数走行していることから考えて、あながち間違いではないと思うわけです。
直接的肉体的な被害は女性でガン体質であれば乳がんということになりますし、男性であれば、肺がんもしくは心臓病ということになるようです(もちろん、ライフスタイルの問題が非常に大きいのですけれども)。
さて、この胸骨の微細運動を回復させるのも重要な施術の要件にはなりますが、微細運動は強い刺激には逆に反応しないという特長があります。
弱い刺激によってのみ反応するというのはある意味、物理学の法則を超えているわけですが、これが命と無生物の違いなのでしょう。
しかし、実務上、胸骨に触れるだけの施術というのがクライアントの納得を得られるものではありません。
(一体何やってんだ?)と思われたら、その時点で効果がなくなりますから、余計に実効しづらい施術方法ですね。
東洋医学的なアプローチが優れていると思うのは、胸骨に直接コンタクトして、触れるだけという手段を取るのではなく、その下の水月部分にアプローチをかけるということではないかなと思っているわけです。
ここなら、胸骨ほどバストに近いわけではありませんし、ある程度の力を込めても間接的でありますから、胸骨の微細運動の促進こそすれ、阻害することがありません。
さらに陰陽関係で小腸反応ゾーンを施術すれば、より完璧に胸骨の微細運動回復に役立つわけです。
腹証を上手にされると、極めて気持ちが良いのは、ある種の感情の解放を伴うからです。
小生も初めて腹証をされたとき、スッと心が軽くなった気がしたものですが、それは気のせいではなく、実際に胸骨の微細運動が回復し、感情の解放が起きたからなのでしょう。
そういう意味で、腹証の意義はもっともっと知られて良いと思いますし、もっともっと使い手が増えてほしい手技の一つだと思う次第です。
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